研究課題/領域番号 |
18K03587
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
西村 伸 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60311205)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 磁場閉じ込め核融合 / 非対称トーラス配位 / 燃焼およびNBI加熱プラズマ / 高速イオン |
研究実績の概要 |
2021年度に引き続き2022年度も (1) 接線NBIにおける高速イオンの非両極性径方向輸送と、燃焼プラズマにおける核融合生成高速イオンの磁力線方向自発流を準軸対称ステラレータ配位を主対象として検討。(2021年欧州物理学会第47回プラズマ物理コンファレンス(オンライン開催)で、理論概要と過去に核融合研で設計された準軸対称装置CHS-qaを核融合炉のプラズマ体積と磁場強度にスケールアップしての核融合生成アルファ粒子の5次元数値シミュレーションに着手している状況を報告。) (2) 高速イオン減速過程に最適化したCoulomb対数の検討。 の各理論的検討、数値計算例作成の作業を進めた。特に2022年度より次の検討も始めている。 (3) 京大Heliotron-Jとの双方向共同研究で高速イオン速度分布計測手法であるFIDA(Fast ion D-alpha)を試みたところ荷電交換損失の影響を強く受けた速度分布が形成されている事が判っていた。このような環境下で高速イオン駆動効果の研究を如何に進めていくかを考えておく事は、日中共同で実験準備が進められている準軸対称装置CFQSの将来のNBI加熱実験のためにも考えておく必要がある。プラズマフローや非等方圧力のMHD平衡・安定性計算の目的に考える高速イオン速度分布の低次Legendreオーダーでは、荷電交換損失の有無はピッチ角空間構造は修正せずエネルギー空間構造の修正(低エネルギー領域の減衰)だけをもたらす事が示せる。2022年度は、核融合研プラズマシミュレータにおいてFIDAをこの減衰率の計測として用いるために必要な計算コード群(HFREYA, GNET, FIDASIM)をHEliotron-J配位で使用できるよう整備するとともに、欧州物理学会第48回プラズマ物理コンファレンス(オンライン開催)やプラズマ核融合学会年会に準備状況を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「実績の概要」の項目(1)の検討を準軸対称配位を主対象として行うという方針決定とそれに従ったシミュレーション着手が二年度目の後半であった事、当初計画申請時に想定していなかった約半年間近くのスーパーコンピュータ運用停止期間が三年度目に含まれている事から、遅れているとまず評価される事がある。2020-2022年度はそれ以前の通常年度より各国研究者との情報交換、学界動向調査の機会が減ってしまう年度となった事もこの評価の理由である。
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今後の研究の推進方策 |
「予算使用計画」に述べるように予算執行状況としては当初申請計画通りには全くなっておらず、2022年度も年度前半のオンライン開催国際会議や年度後半の現地開催国内学会の参加費が主な出費項目であった。しかし2023年度からは通常現地開催の国際会議が増えるので、それらへの参加で各国研究者との情報交換や学界動向調査を行なっていく。助成期間延長申請を繰り返してきたが、2023年度は最終年度になるので、これまでの検討結果の論文化も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度までの助成期間延長及び2022年度までの再延長を認めて頂いたものの、2022年度までは未だ各種の国際会議はオンライン開催の物が多く、2020年度支払い請求時点で想定したようなペースでの予算執行とならなかった。しかし2022年度半ばに学振ホームページで2023年度までの延長が可能になる新型コロナウイルス対応特例措置の事を知り、当初計画と著しく異なる目的に予算流用する事を避けて、EPS会議オンライン参加費や国内学会旅費などを除いては翌年度のために残しておく事とした。このために次年度使用額が発生した。2023年度はコロナ禍以前の状況に戻りつつあるので、国際会議出席や国外研究機関訪問にこの予算を使用する。
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