研究実績の概要 |
2022年度までの実施状況報告に述べたとおり、本研究では燃焼およびNBI加熱プラズマにおける高速イオンに起因して熱化ターゲットプラズマ粒子種に起こる新古典的諸現象の観点からの高速イオン関係理論の見直しを行ってきている。 特に2021年度以降は、高速イオン荷電交換分光(FIDA)の高速イオン荷電交換損失の計測としての応用の検討を行っている。Heliotron-J装置実験でその手法を確立すべく、この計測に必要なコード群(HFREYA, GNET, FIDASIM)を同装置配位で使用可能なように核融合研プラズマシミュレータに準備した。これは、日中共同事業として中国西南交通大学に準備が進められ、2023年度から発足した核融合研の構造形成・持続性ユニットがプラットフォームの一つとして想定するChinese First Quasi-symmetric Stellarator(CFQS)の将来のNBI加熱実験に向けての準備という意味も持っている。この規模の装置では高速イオン荷電交換損失が無視できない事が、同規模装置であるHeliotron-Jで既に判っているからである。計測原理、理論概要については2022年の欧州物理学会(EPS)プラズマ物理コンファレンスでも報告しているが、2023年はHeliotron-Jにおける実験データ、シミュレーション結果も含めて、米国物理学会プラズマ物理部会(APS-DPP)第65回年会(Oct.30-Nov.3, 2023, Denver, NP11:74)に報告した。 また本研究課題に深く関係する事として、2023年度はプラズマ核融合学会誌2024年5月号の小特集「古くて新しい新古典輸送理論の新展開」の第3.2章「高エネルギー粒子を含む問題におけるCoulomb衝突項」の執筆を担当した。
|