研究課題/領域番号 |
18K03589
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井戸 毅 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (50332185)
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研究分担者 |
清水 昭博 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (00390633)
谷池 晃 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (50283916)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高速イオン / 電場 / 重イオンビームプローブ |
研究実績の概要 |
高エネルギー中性粒子入射(NBI)に伴う捕捉高速イオンにより磁気面上に非一様な電位分布が形成される可能性があることが理論的に指摘されている(H. Yamaguchi, IAEA-FEC, (2018) TH/P6-29)。このようなポロイダル電場が形成されると、粒子輸送、特に不純物の輸送に大きな影響を及ぼす可能性があるため、核融合炉心プラズマの粒子循環を理解するうえでこの理論予測の検証は極めて重要な課題である。そこで本研究を通じで整備した重イオンビームプローブ(HIBP)による2次元断面掃引手法とデータ解析手法を用いて、電位分布のポロイダル方向の非一様性を検証する実験を試みた。この実験により、NBIによる電位の変化が計測領域によって異なる場合がある、という初期的な結果が得られた。ただし、HIBPによる2次元断面計測はプラズマ放電ごとに計測位置を変えることによって行う必要があり、また計測位置は同一ポロイダル面にはなく、トロイダル方向にも広がって分布しているため、結果の解釈には放電の再現性と、トロイダル角とポロイダル角に対する依存性を系統的に調べる必要があるため、引き続き解析を進めている。 予定していた高速イオン励起測地線音波(EGAM)の2次元分布の時空間構造計測は、HIBPに用いている加速器の故障のため実施できなかった。一方で、EGAM発生時のイオンのエネルギー分布関数と空間分布を測定するために開発が進めれてきた中性粒子分析器(NPA)によるイオンのエネルギースペクトル計測や、FIDAによる高速イオンの空間分布計測が可能となったことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行する上で必須の計測器の不具合のため、目的の一つであるEGAMの2次元構造とイオンのエネルギー分布関数の応答の関係に関する実験が実施できなかった。また、COVID-19のまん延による出張自粛のため、計測器開発研究が十分に遂行できなかった。その一方で、高速イオンによる電位分布のポロイダル非一様性の検証のための実験を実施することができ、初期的なデータが得られたことは、次年度以降の研究の広がりにつながる大きな進展となった。
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今後の研究の推進方策 |
計測器の修理を進め、令和2年度に実施予定であったEGAMの2次元分布の時空間構造計測を実施する。HIBPによる2次元空間掃引のための制御パラメータに関しては令和2年度の実験により再現性が確認できたので、2次元計測手法は問題なく次年度も実施できると考えられる。これに加え、イオンの空間分布と速度分布の計測も確認できたので、次年度はこれらを連携させて実験を実施する。 また、令和2年度に実施した高速イオンによる電位形成実験の解析を進める。ポロイダル方向とトロイダル方向に分布した計測位置で得られたデータの解析方法とまとめ方を考え、論文化に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍により、出張自粛となり、十分に開発研究がすすめられなかったことと、予定していた国際学会が延期の末にオンライン開催となったことによって旅費の使用がなくなったことにより、次年度使用額が生じた。次年度は信号強度増強のための開発費として使用する。
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