本研究では、トカマク型核融合炉においてプラズマ周辺部に形成される輸送障壁によって閉じ込めが改善される高閉じ込めモード(Hモード)を対象として、炉心プラズマの高プラズマ圧力化で起こる磁気軸シフトが周辺プラズマ構造に及ぼす影響とプラズマ断面形状の関係を理解することを目的としている。特に周辺ペデスタル構造は炉心プラズマ全体の閉じ込めや核融合炉の出力に対する境界条件となるため適切な予測とその制御が求められる。近年、炉心プラズマの高プラズマ圧力化で起こる磁気軸シフトが周辺プラズマ部のMHD不安定性を抑制することが示され、周辺プラズマはプラズマ境界近傍で局所的な特性を持つものではなく、プラズマ全体との大域的な相互作用の下でその性質が決定されることが分かってきた。そこで、本研究では、量子科学技術研究開発機構JT-60SAにおいて、プラズマ圧力値が高く、一方でダイバータ板への熱負荷を低減する小振幅の周辺MHD不安定性を発生させるプラズマ形状を維持するための基盤となる放電立ち上げシナリオ及び制御手法を開発した。また、本課題におけるプラズマ断面形状によるプラズマ性能への影響評価に関連して、量子科学技術研究開発機構JT-60SAにおけるプラズマ位置形状制御開発を進め、原型炉で求められる高ベータ化へ向けたプラズマ制御手法の開発に従事した。本研究成果は、2022年12月に韓国で開催された第20回プラズマ物理に関する国際会議 (ICPP2022)において発表した。
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