研究課題
本研究では、プラズマプロセス中における半導体材料の水素原子起因の欠陥の発生と修復のメカニズムを解明し制御することを目的とする。具体的には、水素原子を含むプラズマを半導体材料に照射し、プラズマ照射時の半導体材料の電気的・光学的特性を実時間・その場測定する。測定には、光電流計測及び分光エリプソメトリ法を用いる。対象とする半導体材料は、結晶シリコン、水素化アモルファスシリコン及び関連化合物とする。これらの材料は、各種半導体デバイス、太陽電池、イメージセンサー等に広く用いられ、産業応用上極めて重要な材料として知られている。 本年度は、水素化アモルファスシリコンおよびエピシリコンの成長に伴う結晶シリコン表面の欠陥(界面欠陥)の発生と修復のメカニズムを調査した。以下に得られた成果を記述する。1)結晶シリコン上の欠陥(界面欠陥)は、エピシリコン成長に伴い多く発生することを見出した。2)エピシリコン成長時には、結晶シリコン表面に多量の水素原子が供給され、この水素原子が結晶シリコン内に一部侵入・拡散し、結晶シリコンの共有結合を切断しダングリングボンドを形成すると考えらえる。また、水素原子の供給が著しく多い場合、結晶シリコン表面はアモルファス化するとともにエッチングされることを観測した。3)一方、水素化アモルファスシリコンの成長では、結晶シリコンの表面は水素原子で終端される。また、界面に適切なバンドオフセットが形成され、結晶表面は良好にパッシベーションされることを確認した。4)これらの結果より、結晶シリコンの表面欠陥を抑制し良好なパッシベーション性能を得るためには、水素原子供給を抑制し、適切なバンドオフセットを形成することが重要であることを見出した。
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