本年度の主な研究実績は次の4つである。(1) 磁場星の安定性解析を行うための数値コード開発の進展 (2) 星外部にプラズマがある場合のニュートン的な強磁場星の平衡解 (3) 星外部にプラズマがある場合の一般相対論的な磁場星の平衡解 (4) 星外部は真空だが、星表面に表面電流がある場合の一般相対論的な磁場星の平衡解 (1) に関しては、本研究課題の目的である磁場星の安定性解析を行うための数値コードの開発である。しかし、計画通りに研究は進まず、コードの開発は完了していない。 (2)、(3)、(4) は、磁場星の平衡解に関するものである。(2) では、磁場は非摂動的に扱われ、磁気圏に蓄えられた磁気エネルギーを取り出せる可能性のある磁場配位を仮定している。(3) では、磁気圏の大きさを仮定することで、磁気圏を持った一般相対論的な磁場星の平衡を得ることに成功している。(4) では、表面電流に働くローレンツ力を考慮することで、無矛盾な力学平衡を保つ解を考えている。表面電流に作用するローレンツ力の効果は、これまでは無視されていた。 本研究課題では、最終的な研究目的を達成できていない。理由は研究期間の不足であある。研究期間がもう少しあれば目的を達成することが可能と思われるので、研究を継続し、近い内に予定通りの成果を得る予定である。 その一方で、安定性解析を行うための磁場星の平衡解に関して、幾つか重要な成果を得ることができた。特に、これまでに得られていなかった磁場の配位である強いトロイダル磁場と弱いポロイダル磁場を持つ磁場星の平衡解を得ることに初めて成功した。また、磁気圏を考慮した磁場星の平衡解の研究も発展させることができた。共同研究として、一般相対論の枠組みで、強い磁場を持つ星の平衡解の数値解法についても成果を得ることもできた。
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