研究実績の概要 |
主に、GaiottoとRapcakにより提唱されたcorner vertex algebra (CVA)について研究を行った。CVAとは3枚の5次元ブレーンの交叉点(次元的には2次元となる)で定義された無限次元対称性であり、5次元ブレーンと直角に交わる3次元ブレーンの各領域における枚数N,M,LによりY(N,M,L)などと書かれる。この代数では頂点をファインマン図的な組み合わせをすることにより新しい無限次元代数が実現され、ストリング理論や統計模型に関連する新たな代数を無限に構成することが可能となった。 CVAは数学的には量子トロイダル代数の特殊な表現となることが知られている。一般的な表現の基底は3次元のヤング図によりラベルされているが、上記の整数N,M,Lに関連するある特定の位置に箱を置けないという制約を加えたものがCVAの表現となる。この意味ではCVAは量子トロイダル代数の新たなreductionとみなすことができる。 私の研究では制約をさらに強めた場合に何が起こるのかを詳しく調べた。特にW代数、N=2超共形代数など80年代に詳しく性質が調べられていた代数をCVAとして実現し、さらに強い制約を加えた場合にはこれらの模型のminimal modelが得られることを証明した。 また、量子トロイダル代数の特徴的な性質としてストリング理論でも現れる双対性があることが挙げられるが、双対性を表す基底をあからさまに構成し、その性質を調べた。
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