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2018 年度 実施状況報告書

W演算子による量子重力理論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03612
研究機関東京工業大学

研究代表者

綿引 芳之  東京工業大学, 理学院, 助教 (40212328)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード量子重力 / W代数 / Jordan代数 / THT膨張 / インフレーション / 編み上げ機構 / Coleman機構 / 弦理論
研究実績の概要

W★代数の数学的な構造の要となるJordan代数の役割を調べ,数式計算ソフトの助けを借りてW★代数の代数構造を調べた。W★代数構造の全貌を理解するには至らなかったが,最初の数個の次数に関しては厳密に調べることに成功し,従来知られているW∞代数に非常によく似た構造を持つことがわかった。
THT膨張は,インフレーション理論のインフレーション膨張とほぼ同じ役割をすることもわかった。インフレーション理論では地平線問題とCMBの揺らぎが重要な問題だが,THT膨張もインフレーションとほぼ同じ理由によって説明できることがわかった。平坦性問題などの他の問題についてはインフレーション理論とは違う理由で回避されるので,全ての問題は解決する。また,ワームホールの媒介で生じる力を計算したことで,編み上げ機構やColeman機構が起こり得ることを自由エネルギーの観点から説明できることがわかった。これらについては,まだまだ詳細な検討は必要だが,大きな手ごたえが感じられる成果であると思う。

今年度は研究会に4回ほど出席し,その内の2回は我々の研究成果を発表した。我々の研究は新しい分野の研究になるため,これに最適の研究会がないのが現状だが,出席した4回の研究会は,いずれも,我々の研究に近い分野の研究会である。ここではたくさんの質問が出たが,我々の理論に致命的な欠陥は見つからず,手ごたえも十分あったと感じた。しかし,理解されない部分はまだ多く,今後の課題と考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年提出した研究実施計画に書かれたこととほぼ同じことが実行できたから。

今後の研究の推進方策

2019年度は,Jordan代数の表現論を詳細に調べてW★代数の全容を把握する。これと同時に,この理論に現れる物質場の役割を調べ,宇宙背景輻射場の揺らぎの仕組みを理解する。また,編み上げ機構後の物質場の性質も調べる。これについては,高次元化によって得られる時空の次元が弦理論の時空の次元と一致するという事実を手掛かりにする。2020年度は本研究の大まかな目標に到達し,2021年度以降はさらなる理解を達成することを期待している。もちろん,うまくゆかないことも多々あるかもしれないが,W★演算子による量子重力理論自体は,超弦理論と並び立つ統一理論の候補になるのではなく,超弦理論を補完する理論であり,非常によくできた理論であることは間違いないので,それなりの大きな成果は見込めると信じている。事実,宇宙の加速膨張の理論的な説明はその一例である。臨界次元を持たない超弦理論の研究も同時に行う必要が出て来ると予想されるが,こちらについては既に理論的な道具立てが1980年代以来の超弦理論の研究により完成しており,時間の問題に過ぎないと思われる。

次年度使用額が生じた理由

節約により端数の残額が生じた。残額は書籍の購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] Niels Bohr Institute(デンマーク)

    • 国名
      デンマーク
    • 外国機関名
      Niels Bohr Institute
  • [学会発表] Accelerating expansion of universe by the interaction with baby universes2019

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Watabiki
    • 学会等名
      Discrete Geometry, Dynamics and Statistics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Emergence of spacetime and Knitting mechanism from 2D CDT2018

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Watabiki
    • 学会等名
      Physics and Mathematics of Discrete Geometries
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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