現代宇宙論においては、宇宙初期に生成された密度揺らぎの統計的な大きさを、宇宙の様々な時代で測定し、宇宙モデルを決定している。近年ではこの測定において検出器のノイズは問題にならなくなり、むしろ観測する宇宙が一つしかないというサンプルバリアンスが検定力の限界を決めている。そこで揺らぎの統計量ではなく、揺らぎの成長を直接追うことで宇宙モデルの決定ができないかを探った。初期揺らぎの分布をガウス分布であると仮定すると成長による揺らぎの増大と初期揺らぎの大きさが分離可能であること、また銀河団で生成される宇宙マイクロ波背景輻射の偏光を各時刻で観測することにより、揺らぎの成長を直接推定できることが分かった。
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