研究課題/領域番号 |
18K03633
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤川 和男 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 客員研究員 (30013436)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 量子異常 / Berry位相 / 異常Hall効果 / 変形された交換関係 / ニュートリノ振動 / 質量の異なる粒子の干渉 |
研究実績の概要 |
今年度は主として主としてProgress in particle and nuclear physics 誌にレビューを書くことに時間を費やした。このレビューは原稿で約125ページにわたるものであるが、タイトルはBerry's phase and quantum anomalies というものである。まず、Berryの位相と呼ばれる現象に関して筆者が研究した過去20年近い考察をまとめた。特に最近の知見としてはBorn-Oppenheimer近似と呼ばれる処方との関連を明確にした。この結果として量子力学の範囲内では異常Hall 効果と呼ばれる効果がこれまで信じられてきた外部からの力に直角な方向に電荷が動くのではなく、少しずれた方向に動くことが分かった。実験的な意味は現在のところ明らかでないが、これはBerryの位相と電磁相互作用のゲージ変換が直接関係していないことに起因しており、基本的な効果である。同時にこの定式化では異常Nernst効果というものは説明できないということがわかった。この成果は上記のレビュー誌とは独立にPhysical Review B誌にも発表した。レビュー誌に関係した主要な結果としては、Berry位相といわゆる量子異常が関係していないことを過去にも予想されていたことではあるが明確にした。他方、Born-Oppenheimer近似とBerry位相の関係のより詳細に関しては現在原稿を準備中であり近日中に公表したいと思っている。以上とは別個の話題ではあるが、ニュートリノの振動と呼ばれる現象の場の理論的な定式化を与え、なぜ質量が異なる粒子が干渉できるかという基本的な問題を考察し、これに関しても論文の原稿は準備しており近く公表したいと思っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの流行により、リモートでの研究のスタイルが広がりゆっくりと自分の好みの研究に専念できる環境になったのは、筆者のようなスタイルの研究者には研究を進めやすい状況になった。しかし、同時に新しい学問を始めるには、議論をする環境が制約されていたのはプラスにはならなかった。
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今後の研究の推進方策 |
著者の年齢(80歳)も考えて、できるだけ基礎的かつ普遍的な問題を考察したいと思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナでの海外等の出張が規制され、次年度繰り越しとなった。今年度はHelsinki を訪問し共同研究を行う予定である。
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