銀河中心の超大質量ブラックホールの活動性はそれを囲む降着流内部の磁気活動性に起因する。降着円盤内部では磁気回転不安定性による磁場増幅、飽和、散逸による磁気エネルギーの熱、運動エネルギーへの変換が常に繰り返されており、これが系の時間変動性を生み出している。このような物理過程を精度よく捉えるためには高精度の数値計算コードによる高解像度計算が重要となるため、一般相対論的磁気流体コードの改良を行った。特に相対論的流体、磁気流体方程式の数値解法でよく用いられている保存系の流体、磁気流体方程式を時間積分した後に次の時間ステップの計算のために必要となる保存量から基本量への変換の部分に関しては、例えば1変数のニュートン法だけでは解の収束計算に失敗した時に計算が破綻してしまうため、多次元ニュートン法あるいは、他の収束計算方も導入し、バックアップとなる手法を導入した。これらの手法を用いて、1次元、多次元の特殊相対論的磁気流体のテスト計算及び、1次元、多次元の一般相対論的磁気流体計算を行った。特殊相対論的磁気流体及び、1次元の一般相対論的磁気流体計算に関しては高次精度化による解析解の解像度依存性なども設計通りに収束を見せており、多次元の一般相対論的磁気流体計算に関しては若干計算が困難な場合があるが、コードは概ね完成しており、コードの詳細、及び、降着円盤の磁気活動性に起因する系の時間変動の中心ブラックホールのスピン依存性に関する論文についてまとめている。
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