研究課題/領域番号 |
18K03637
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石橋 延幸 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70211729)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 弦理論 / 弦の場の理論 |
研究実績の概要 |
弦の場の理論の定式化は、弦の世界面上の計量の設定方法に依存している。世界面上の計量テンソルとして数学的に最も自然に定義できるのは定曲率を持つ計量テンソルである。この計量テンソルを用いて、弦の摂動の高次の計算や、その方法の超弦への拡張が議論されてきた。ところが、この計量テンソルは弦の場の理論と相性が悪く、これまでほとんど使われてこなかった。 最近、JT gravityと呼ばれる2次元面上の重力理論が活発に研究されている。この理論は世界面上の計量テンソルが定曲率を持つものに固定される非臨界弦理論と見ることができる。この非臨界弦理論は通常研究されている非臨界弦理論のある種の極限として得ることができる。この非臨界弦に対応する弦の場の理論を構築することができれば、定曲率を持つ計量テンソルに対応した弦の場の理論の定式化へのヒントが得られると期待される。 非臨界弦については、確率過程量子化に基づいた弦の場の理論が構築されてきたが、この方法は非常に限られた非臨界弦理論に適用可能であった。本研究では、確率過程量子化に基づいた弦の場の理論の定式化を理論的に整備し、JT gravityに対応する理論を構築するにはどうしたらいいかを明らかにした。また、この方法を超対称性を持つJT gravityにも適用した。 これらの研究成果を、国際会議"Workshop on fundamental aspects of string theory"において発表した。今後論文として発表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
弦の場の理論の次元正則化というテーマから、非臨界弦の場の理論についての研究に方針を転換したが、後者の研究は順調に進んでおり、おおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
非臨界弦の場の理論に関する研究を推進し、臨界弦への応用を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブラジルで行われる国際会議出席の旅費等を計上していたが、コロナ渦のためオンライン会議となり、使用できなかった。コロナ禍の状況をにらみながら、オンラインでの研究に必要な機器の整備等、適宜使用計画を練り直していく予定である。
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