初期宇宙でのアクシオン暗黒物質生成と観測への影響についての研究を継続した。 宇宙紐やドメインウォールなど、アクシオン位相欠陥の宇宙での形成とその後の時間発展のシミュレーションについて、シミュレーションの妥当性を含めた再検討した。特に、本来短寿命であるアクシオンと直交するPeccei-Quinn複素場の動径方向がシミュレーション上で長寿命となってしまうことをセミアナリティックな手法で明らかにするなど、これまで盲目的に信じられていた仮定などについてつぶさに検討をおこなった。その上で、それらの問題検討に基づき、シミュレーションの改善を試みた。特に位相欠陥周りでシミュレーションの解像度を上げることが不可欠であり、そのために必要な動的格子細分化法 (dynamic mesh refinement) など技術導入について検討、テスト計算を行った。 併せて、アクシオン電磁気学の宇宙論的シミュレーションの発展や、アクシオン暗黒物質シナリオでの宇宙構造形成への影響と観測可能性の探求など、アクシオン宇宙論に関し幅広く研究を行った。
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