原子核には粒子崩壊閾値より上に存在する共鳴状態として、集団運動、クラスター構造などを反映した多種多様な状態が観測されている。原子核の共鳴状態は天体における元素合成にこのような背景には、原子核の核子相関の多様性が要因であり、現在では、不安定原子核におけるダイニュートロン相関による共鳴状態にも注目されている。 このような背景のもと、本年度は中性子過剰領域における不安定核の共鳴状態に現れるダイニュートロン構造の研究をおこなってきた。ダイニュートロン構造は、2中性子ハロー核の基底束縛状態に現れ、2つの中性子が束縛したように、空間的にコンパクトに存在する構造のことである。このダイニュートロン構造が、励起共鳴状態に存在するか、また、それが存在するとして、実験的に観測できるかという点が注目されている。本研究では、先行研究で見つかった崩壊断面積中に見られるshoulder peakが共鳴状態のダイニュートロン構造を示唆しているという結果について、より詳細に解析を行った。結果、shoulder peakが共鳴状態の構造を反映し、またshoulder peakがダイニュートロン構造により作られることを明確に示した。またこのshoulder peakは最近行われた理化学研究所の実験において、その構造が観測されたと報告されており、理論的、実験的にも注目されている。 この結果Physical Review CのLetterとして掲載された。
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