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2021 年度 実績報告書

格子上の位相荷の不定性とクォーク質量の定義

研究課題

研究課題/領域番号 18K03662
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

山田 憲和  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (50399432)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードゲージ理論 / トポロジー / 格子シミュレーション / CP対称性
研究実績の概要

2021年度も引き続き、4次元SU(2)ヤン=ミルズ理論における自由エネルギー密度f(θ)のθ依存性に着目した研究を行った。これまでf(θ)のθ依存性を直接調べることは符号問題に阻まれ不可能であった。その代わり、θ=0の回りで展開した展開係数の各々を数値計算で決定することにより調べられてきた。この方法でもある程度のこと(例えばθ^4の係数が、知られているどのモデルと無矛盾か等)を調べることは可能であったが、結果を信頼できるのはθ<<1の領域に限られるため、例えばf(θ)のθ=π近傍の振る舞いを知ることはできない。そこで、我々は新たにsub-volume法という手法を開発し、どの程度大きなθまで信頼できる計算が可能なのかについての研究を行った。
sub-volume法の要点は以下の通りである。小さい体積では、体積内の位相荷の和(Q_sub)が比較的小さいため、θがπを超えてもf_sub(θ)に比例する量 log[<cos(θ Q_sub)>] が実数となり、f_sub(θ) を計算できる。sub-volumeの無限大極限を取ることにより f(θ) を得るが、この外挿をうまく取れるかは非自明である。実際、臨界温度より上では体積の関数として f_sub(θ) は非自明な振る舞いを示し、信頼できる外挿はできなかった。ところが、T=0の真空では、期待される体積スケーリングを示し、信頼できる結果が得られた。その結果、長年の問題 「SU(2)ヤング=ミルズ理論はθ=πでgaplessのconformal理論になるのか?そしてその点でCP対称性は自発的に破れるのか?」 に対して「CP対称性は自発的に破れる」という結論を支持する結果を得ることができた。この結果については今後も更に精査するが、少なくとも当研究ではこの問題にアタックする有効かつ唯一の手法を開発することに成功したと言える。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Peeking into the θ vacuum2021

    • 著者名/発表者名
      Ryuichiro Kitano, Ryutaro Matsudo, Norikazu Yamada, Masahito Yamazaki
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 822 ページ: 136657

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2021.136657

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Peeking into the θ vacuum of 4d SU(2) Yang-Mills theory2021

    • 著者名/発表者名
      Norikazu Yamada
    • 学会等名
      Cambridge High Energy Workshop 2021 -Axion Physics-
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Peeking into the θ vacuum2021

    • 著者名/発表者名
      Norikazu Yamada
    • 学会等名
      YITP workshop QCD phase diagram and lattice QCD
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Peeking into the θ vacuum of 4d Yang-Mills theory2021

    • 著者名/発表者名
      Norikazu Yamada
    • 学会等名
      Lattice 21
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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