研究課題/領域番号 |
18K03667
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
蓑輪 眞 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (90126178)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 雷 / ガンマ線 / ラジオゾンデ |
研究実績の概要 |
雷雲中に存在するであろう鉛直方向の大強度電子フラックスを直接検出するためにこれまでに開発・製作した荷電粒子検出器をラジオオゾンデに搭載して、千葉県柏市の東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の屋上より飛揚させることを昨年度に引き続き試みた。本年度中には、各種気象情報により現地上空を雷雲が通過することが計13回予想された。そのうち5回はラジオゾンデの飛揚の準備をして待機したが、実際には雷雲の活動度が低かったり、雷雲が現地を10km以上はずれて通過したためラジオゾンデを飛揚させることはできなかった。また7回については活動度の高い雷雲の発生がなかった。残りの1回は高層での風速・風向が気球を安全に飛揚させる条件になかったために飛揚させることができなかった。 一方、検出装置については新型の荷電粒子検出器を開発し10台を製作した。この検出器は電子が鉛直方向に進行していることを仮定して、そのフラックスを精度よく測定するために薄板のプラスチックシンチレータ2枚を間隔を離して設置し立体角が精度良く決まるように設計されている。また、検出器の温度をこれまでより精度よく測定できるようなセンサーを使用して検出器の温度を一定に保つように作られている。 また、ラジオゾンデのデータを受信するための極超短波(UHF)受信機のプリアンプを新しく製作した。これは、低雑音・高ダイナミックレンジを持つ専用のICを採用しており、これまで使用してきた市販の既製品と比べて高い受信性能を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
観測に必要な機器を引き続き改良し観測に必要な体制・環境を構築した。しかし適切な気象条件が得られず、ラジオゾンデを飛揚することはできなかった。これは不安定な気象を対象としているので仕方がない。引き続き何度も試行する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
雷活動度の高い巨大な雷雲の発生を根気よく待ってその時を狙ってラジオゾンデを飛揚させて所期の目的を達成するように務める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入しようとした物品が品切れだったために、年度内に使用できなかった。新年度に改めて購入する予定である。
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