研究課題/領域番号 |
18K03674
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
住浜 水季 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (10396426)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ハドロン光生成反応 / エキゾチックバリオン |
研究実績の概要 |
非摂動QCDから摂動QCDへ移行する2~3GeVの光子ビームを用いて、ハドロン光生成反応断面積のエネルギー依存性を測ることで、この領域でのクォークカウンティング則の検証を行うため、大型放射光施設スプリングエイトのレーザー電子光施設LEPS-1と新たに建設された施設LEPS-2にて実験を行っている。LEPS-1ではすでにデータ収集が終了しており、現在水素標的と重水素標的のデータ解析を他大学の研究者と議論をしつつ行っている。検出器の性能評価が完了し、エネルギー・運動量の較正を進め、物理の結果を得るに十分な統計と性能が得られていることがわかった。LEPS-2では、新たに1台ドリフトチェンバーを導入し、その試験を行い、正常に動作することを確認した。タイムプロジェクションチェンバーの改良を行い、シリカエアロジェルカウンターの設計・試験も進めることができた。 MPPCを用いたタギングカウンターについては、MPPCの読み出し回路であるEASIROCの試験を行った。高圧電源の供給と、高レートへの耐久性に問題があることがわかり、これらの問題をもとに改良された新たなチップを導入したEASIROCを本年度購入予定である。試験用の90Sr線源を購入しMPPCを取り付けた小型シンチレーションカウンターで電子の運動量測定を行った。LEPS2で用いる運動量よりも低い運動量での試験ではあったが、動作確認ができた。また、MPPCはLEPS-2のスタートカウンターの光センサーとしても使用しており、こちらでもビーム実験を行うことで性能評価ができた。160ピコセカンドの時間分解能が達成できたが、場所依存があり、改良が必要であることがわかった。また、複数個のMPPCの接続方法にもかいりょの余地があることがわかり、今後改良し試験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LEPS-1の解析については、検出器や読み出し回路の経年劣化により、キャリブレーションが困難になっていることが判明した。しかし、データを精査し、プログラムの改良を行うことで、これまで通りの性能が得られる見通しがたち、おおむね順調である。LEPS-2の実験の進捗状況は、各検出器の宇宙線での動作試験が行われ、ビームを用いたコミッショニングランが進行している。データ収集も行われ、そのデータを用いた性能評価や解析プログラムの開発も進めている。MPPCを用いた検出器開発は、主に読み出し回路の試験を行った。当初予定した通りに動作しなかったため、進捗が遅れたが、問題点も明らかになり、線源を用いた小型シンチレーション検出器の試験を行うことができた。さらに、MPPCは他の検出器にも利用できるとこがわかり、スタートカウンターや、ビームプロファイルモニターの開発も手掛けた。MPPCアレイを用いた直線偏極光ビームのプロファイルの測定も行い、ビームプロファウルのモニターにも使用でき、汎用性に優れた検出器であることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
LEPS-1のデータ解析は順調に進み、今後、このデータを用いて陽子光生成反応とπ中間子光生成反応を抽出し、断面積とビーム偏極量を求める物理解析を行う。まだ、観測されていない反応も解析し、今後物理解析を進めていく予定である。 MPPCの開発に関しては、改良された読み出し回路EASIROCを購入し、試験を行う。まず、宇宙線にて試験を行い、その後、新型タギングカウンター制作に向けて開発を進める。また、円偏向光子ビームの実験を予定しており、64個のMPPCを向見合わせたMPPCアレイでビームプロファイルを測定する計画を考案中である。円偏向の取り出し、そのビームを用いた実験は初めての試みで、MPPCアレイを用いたビームプロファイルモニターによって、ビームの性質を知り、実験データの収集やデータ解析での多粒子の交点の計算に用いることができる。LEPS-2実験が本年度から物理データの収集が開始される予定で、本研究に必要なデータが収集される。そのデータの解析を始める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
読み出し回路EASIROCの動作試験に時間がかかり、使用に問題が発覚したため、本年度内に購入できなかった。電圧を供給する回路に問題があり、試作品の修理等に時間がかかった。また、そのため、岐阜大学内での試験が多く、SPring8でのビーム実験を行うことができず、使用した旅費が当初の計画より少なくなった。
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