研究課題
非摂動QCDから摂動QCDへ移行する2-3 GeVのエネルギー領域で、クォークカウンティング則の検証実験を行った。検証実験は、大型放射光施設スプリングエイトのレーザー電子光施設LEPS-1と新たに建設された施設LEPS-2で、偏極光子ビームを用いたハドロン光生成反応断面積のエネルギー依存性を測ることで行う。LEPS-1ではすでにデータ収集が終了しており、検出器の性能評価が完了し、エネルギー・運動量の較正を進め、物理の結果を得るに十分な統計と性能が得られていることがわかった。そのうえで、水素標的と重水素標的のデータ解析を他大学の研究者と議論をしつつ行った。LEPS-IIでの研究遂行のために、円偏極ビームの生成とその形状の測定、直線偏極ビームのモニター装置の開発を行った。円偏極ビームの取り出し用コントローラーの動作試験やその操作プログラムの開発を行った。円偏極ビームを用いた実験は初めての試みで、MPPCアレイを用い、ビーム位置と形状の測定を行い、物理データ取得できる位置・サイズであることがわかった。LEPS-IIではレーザー電子光の生成点から標的や検出器まで100 mほどの距離があり、ビームの位置と形状のモニターが必要である。そのためにMPPCアレイを用いることにした。直線偏極ビームの水平方向偏極と垂直方向偏極のビーム形状を測定した。その結果、これらの形状が理論計算で得られる形状にほぼ一致していること、ビーム位置を1mm程度の精度で測定できることがわかった。つまり、MPPSアレイをビームモニターに使用できることがわかった。レートも数kHz程度であり、耐久性の問題もないことがわかった。当初の予定のタギングカウンターの開発には至らなかったが、MPPCを用いたスタートカウンターの開発も行い、130 ps程度の時間分解を達成することができた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Physical Review Letters
巻: 124 ページ: 05520
10.1103/PhysRevLett.124.202501