宇宙マイクロ波背景放射の偏光観測を目指した4K環境での低温駆動低発熱ステッピングモーターの開発を行った。開発は2つのステップにわかれる。第一段階はジュール損失による発熱を低減するために高純度銅線を採用した。単線での銅線は存在するものの、被覆を含めた銅線はないため、独自に高純度銅線と被覆を準備し、コイル形状にした。コイル整形後にアニールすることで、コイル形状時の導線へのストレスをなくした。結果として4K環境では常温に対するResidual Resistance Ratio(RRR)を2000以上実現した。第二段階では、この製法を踏襲したコイルを搭載したステッピングモーターを試作した。液体窒素では期待通り高純度銅線の方がRRRが9程度であることを確認した。液体ヘリウム温度での試験は完了していないが、RRRが2000程度ある場合は、これに従いジュール損失も4K以下で1/2000になることが期待される。
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