本研究課題は、先行研究で新しく開発したハイブリッド技術を用いた光検出器を、マルチアノード化をすすめ、イメージング能力を持つセンサーへと高度化するものである。さらに、磁場中での使用の可能性及び異なるフォトカソードの採用についてあらたな指針を示し、進展させることが重要項目である。このような課題について、真空管内にMPPCを複数台設置したプロトタイプを製造を開始した。第1号試作機の性能評価を行い、計算機シミュレーションと比較することで、製造する上でのパラメーターの最適化等を実施した。これをもとにプロトタイプ2号機から4号機までを順次製造し、個々の性能を検証した。4台の性能を比較することで、制作によるばらつき及びその原因となる要因について考察し、今後の同種の検出器製造に貢献てきる資料とした。一方で、4台の性能特性をシミレーションプログラムのデータとして用いることで、計算機による評価の精度向上を行い、より正確な性能評価ができるコードとして構築した。総合試験として、プロトタイプ1号機から4号機を光検出システムとして一体化し、読み出し電子回路と接続し、セットアップを組み上げた。シリカエアロゲルをチェレンコフ輻射体として光検出システムの上流部に設置し、宇宙線を用いて発生したデータを収集した。このデータからチェレンコフリングを検出し、その信号を解析することで、シングルフォトン検出効率を含む詳細な性能を将来の使用目的に近い状態で検証した。磁場シールドの効果については、上記したシミレーションプログラムに磁場の効果をいれることで、その影響を詳細に調べ、データとしてまとめた。
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