研究課題
最終年度に於いて、理論論文を執筆し、論文誌に掲載した。本研究は、ヒッグスセクターにレプトン・フレーバーを破る相互作用(LFV)を導入し、1ループダイアグラムの中にこのLFVを介在させることにより、標準模型では存在しない新しいLFVプロセスを提唱した。LHCに於ける生成断面積は、ループにLFVを介在させることから、新粒子の質量には大きく依存せず、相互作用の強さに依存する。そのため、新粒子の質量に制限を掛けていく直接探索と相補的な役割を果たす。また、論文に於いて、ニュートリノ振動に於けるフレーバーの階層問題においても、十分なルミノシティがあれば、順階層か逆階層の判定をつけることも示した。LHCに於けるデータを用いた解析は、現在進行中である。2023年度夏に結果を公表できるように進めている。研究期間全体を通した総括としては、本研究がハドロン衝突に於ける1ループの中に新粒子を介在させたプロセスの数値理論計算を初めて実行したことである。従来とは異なった計算手法を採用し、より直接的に高次計算の効果を評価できる点が新しい。論文誌に掲載されたのが成果である。一方で、コロナ禍の影響で、現地で実験に参加することができず、リモート・ワークがまだ十分に浸透していない中で、データ解析が遅延してしまった。本研究課題で博士論文を予定していた学生は、アカデミックから離れて一般企業へ就職してしまった。現在、引き続きデータ解析を行い、近日中に解析結果の公表を目指している。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Physical Review D
巻: 106 ページ: -
10.1103/PhysRevD.106.075014