研究課題
「あかり」衛星の近・中間赤外線カメラ(IRC)で取得した2.5-13ミクロンの近・中間赤外線スペクトルの解析から銀河面上に新たに2つの特異な赤外線天体を発見し、詳細な検討を行った。2つの天体は2.5-5ミクロンの波長帯に非常に深い水、一酸化炭素、二酸化炭素の氷の吸収バンドを示す。さらに10ミクロンのケイ酸塩の深い吸収バンドのほか、5-7ミクロン帯にも有機物系の氷起源の吸収バンドを示す。これらの特徴は若い星のスペクトルの特徴とよく一致する。一方、5ミクロンから遠赤外線にかけてのエネルギースペクトルの分布は、厚い分子雲の背景にある背景星の特徴に一致する。2つの天体は、いずれも星生成領域や分子雲に属していない。これまで取得されている他の若い星および背景星の観測と詳細に比較し、若い星の場合は同様の天体がこれまでの測光サーベイでは見逃されている可能性を指摘する一方、背景星の場合は、従来想定されてない条件で氷が生成される可能性を指摘し、査読論文として発表した。「あかり」およびSpitzer衛星の観測から、4.65ミクロンに強い吸収を持つ天体を発見し、詳細な解析からXCNと呼ばれる窒素を含む氷成分で説明されることを明らかにした。また空間分布からXCNが電離ガスとよい相関を示すことが得られ、XCNのキャリアと考えられているシアネートイオンの生成過程として、これまで検討されている仮説の一つである、紫外線による化学反応が有力であることを初めて示す結果を得た。同じ天体では重水素を含む方向ぞの有機物の特徴を最も強く示していることも見出し、このような天体で重水素が有機物に多く取り入れられている可能性を示した。これらの観測データ解析と並行して多環芳香族炭化水素(PAH)に窒素が含まれた場合の影響を、密度汎関数理論(DFT)を用いて計算し、電離した場合と同様の影響があることを示した。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 13件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
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