研究実績の概要 |
本研究初年度である。本研究課題は、新しく発見された黒体輻射のスペクトルをもつ天体の発見論文を出版した(Suzuki & Fukugita 2018, Astronomical Journal, 156, 219)。 本発見の意義は、これまで知られていた、明るさを較正するための星よりも、これらの星はより精度よく紫外領域から、可視、赤外まで較正できることである。2018年8月にオーストリア、ウィーンで開かれた国際天文学会(IAU)に於いて、本成果を発表した。また、欧州のグループによって、発見された天体がヘリウムに覆われた温度の低い白色矮星であることが理論モデルにより示唆された(Serenelli et al, 2019, Astronomy and Astrophysics, 623, 177)。天体の正体に迫る研究も進んでいる。 大型望遠鏡の分光観測進行中で、これまで発表した17天体のうち、過半数はカリフォルニア大学のケック望遠鏡、日本のすばる望遠鏡によるスペクトルを集めることができた。 ハッブル宇宙望遠鏡の観測は、公転視差を利用した距離測定も兼ねており、当初から2年計画である。本年度は、紫外領域の撮像に成功し、データを確保することができた。簡易解析の結果、当初予定していた精度が得られる感触を得た。しかしながら、2018年秋にハッブル宇宙望遠鏡のジャイロが故障し、修復に時間がかかったため、当初予定していた赤外での観測はまだできていない。観測は来年度に延期されたが、遂行予定である。今後は解析を進め、より精密な暗黒エネルギーの測定及び、次世代大型赤外宇宙望遠鏡(JWST)へ向け、準備を進めていく予定である。
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