分子雲は細長いフィラメント形状をしており,そのフィラメントの軸に対して磁場が垂直に貫いていることが観測から知られている.よって,そのような分子雲の分裂から星形成にいたる過程を理論的に明らかにすることは,太陽のような星の誕生過程を理解する上で重要である.本研究結果から,磁場に貫かれた細長い分子雲は,初期の平衡状態や,磁場の強さに関わらず,分子雲コアに分裂する蓋然性が高まった.特に,強い磁場を持つ分子雲コアが,自然に短い時間で形成されることがわかった.太陽のような連星でない単独星の形成には分子雲コアが強い磁場を持つ必要性が指摘されている.今後は,理論の結果と観測との整合性の検証が重要と考える.
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