研究課題/領域番号 |
18K03716
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
廣瀬 重信 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門, 調査役 (90266924)
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研究分担者 |
簑島 敬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), 研究員 (00514811)
富田 賢吾 大阪大学, 理学研究科, 招へい教員 (70772367)
佐野 孝好 大阪大学, レーザー科学研究所, 助教 (80362606)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オパシティ / 状態方程式 / 輻射流体力学 |
研究実績の概要 |
本研究は、輻射流体力学シミュレーションで必要となるオパシティ(=気体の不透明度)と状態方程式の数値データを作成する計算コードの開発を行い、それをシミュレーション研究者向けに一般公開することを目的としている。令和元年度は、オパシティ計算コードに関しては、特に線スペクトルの計算コードの開発を行った。具体的には、まず、計算に必要な原子・分子のスペクトルデータの収集を行った。原子に関してはハーバード・スミソニアンセンターのKurucz博士のデータベース、分子に関してはハーバード・スミソニアンセンターのHITRANデータベースと、ERCプロジェクトのExomolデータベースを採用した。これらのスペクトルデータは、それぞれ異なるフォーマットを持つテキストデータであるため、フォーマットを統一した上でバイナリデータへと変換した。このときフォーマットとしてHDF5を採用することで、データへのアクセス速度と可読性の両方を担保した。また、この過程で、データベースに散発的に誤りが見つかったため、それぞれのデータベースの管理者(ハーバード・スミソニアンセンターのKurucz博士とExomolのYurchenko教授ら)と共同で対処し解決した。さらに、こうして作成したHDF5フォーマットの原子・分子データベースからデータを読み込み、実際に線スペクトルを計算するコードのプロトタイプを完成させた。以上の成果について、2020年日本天文学会春季年会にてポスター発表を行った。一方、状態方程式の計算コードの開発に関しては、独自コードの開発方針を検討するために、既存の公開化学平衡計算コードの一つであるTEAを分析し、特に解が求まる条件について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、少なくとも線スペクトルの計算コードの完成までを目指していたが、結果的にプロトタイプの完成に留まっている。この原因は、(研究実績の概要に述べたように)ソースとなる原子・分子スペクトルデータの公開データベースに誤りが見つかり、その原因の追求に時間を取られたためである。しかし、この問題への対処が結果として、信頼できる独自データベースの構築に繋がっている。
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今後の研究の推進方策 |
オパシティ計算コードに関しては、計画通りに開発を進める。すなわち、前年度行った線スペクトルに関するデータベースに加え、連続スペクトルのデータベースを構築したのち、それらからオパシティを計算するコードの開発を行う。状態方程式計算コードに関しては、もう一つの公開コードであるFASTCHEMについても分析を急ぎ、独自のコードを開発する必要性・メリットを再検討する。もしそれらがないと判断された場合には独自コードの開発を中止し、その代わりに、様々な公開コードの結果を読み込めるようにオパシティ計算コードのインターフェイスの仕様を変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の一人が、平成30年度に引き続き令和元年度も、他用務において米国に長期滞在し研究することになり打ち合わせが延期となったため、次年度使用が生じることになった。これは、当該研究分担者の米国滞在が終了した令和2年度に当初の目的(延期となった打ち合わせの旅費のため)に使用する。
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