極低温の星間分子雲における初期分子進化過程では、氷で覆われた星間塵(氷星間塵)表面での化学反応が重要な役割を果たすことが実証されてきた。しかしながら、氷星間塵内部に取り込まれた原子・分子の、光や宇宙線を必要としない化学プロセスは明らかにされていない。本研究では氷星間塵表面に吸着した水素原子が氷内部に侵入、拡散していくかどうかを実験に基づき明らかにすることを目的とした。 本研究により、氷内部に取り込まれた原子・分子が水素と反応しうることが明らかとなった。更には、水素原子による表面反応効率が著しく減少する>20Kの温度領域においても水素原子の関わる反応が起きることがわかった。
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