研究課題/領域番号 |
18K03723
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中村 昭子 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (40260012)
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研究分担者 |
和田 浩二 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 主席研究員 (10396856)
長谷川 直 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任研究開発員 (10399553)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 低重力 / クレーター / レゴリス |
研究実績の概要 |
これまでに申請者が共同研究者らと得ていた低重力下(地球重力の0.25-1倍)での模擬レゴリス標的(ガラスビーズ層、および、砂層)への低速度(1-5 m/s)衝突実験結果を、従来のクレータースケール則で用いられている無次元パラメータで整理した。その結果、大気圧が100Paより大きいときは、大気の存在がクレーター直径の重力依存性に与える影響が無視できないことを示した。さらに、クレーター直径に対する雰囲気ガス圧力の効果を考慮するための追加の無次元パラメータを、従来から用いられているクレーター直径のスケーリング則に加えて用いることにより、大気圧下で行った実験結果を整理できることを示した。これにより、減圧下での中高速度衝突実験結果をもとに得られてきた重力支配域でのクレーター直径のスケーリング則が、申請者らの研究によって得られた低速度衝突の実験結果についても成り立つことを示した。これらの結果は、共同研究者を筆頭とする査読付論文として国際誌に受理された。 レゴリス模擬物として実験に用いる球形粒子のガラスビーズ、不規則形状粒子のシリカサンドとアルミナ粒子の固着力の測定を遠心加速法によって行い、その結果を国際誌に論文として発表した。 また、低重力下で弾丸が粉体層へ潜り込む深さを測定する装置を試作した。粉体容器に高速度動画が撮影できる小型のデジタルカメラを取り付けて、容器の落下中に弾丸の潜り込みとクレーター直径の拡大の様子を観察するための画像を取得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粉粒体への低速度衝突実験で形成されるクレーターの直径が、高速度衝突実験結果で得られるスケーリング則から予測される大きさよりも小さいことと、大気中で行われた低速度衝突で形成されるクレーター直径が真空中で形成されるよりも小さいことを関連付け、大気の存在によりクレーター直径が数割小さくなることを定量的に示した。これを受けて、低速度衝突においても減圧下で実験を行うか、もしくは、実験データに対する大気圧の定量的な補正を行う、という今後の方針を立てることができた。 レゴリス模擬粒子として用いる粒子の固着力を測定し、今後、数値シミュレーションに用いるための情報を得た。 また、粉体層容器にカメラを取り付けて、容器の落下中に粉体層に弾丸を衝突させて動画を撮ることを実現した。
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今後の研究の推進方策 |
神戸大学の小型真空チャンバーを改修し、この中で微小重力衝突実験を行う準備と試験データの取得を行う。並行して、宇宙科学研究所の縦型銃とその真空チャンバーを用いた微小重力衝突実験の準備を進める。具体的には、粉粒体容器落下装置およびカメラ落下装置の製作と試験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
容器落下中の動画取得装置の試作を先に行い、神戸大学の小型真空チャンバーの改修を行うのを31年度に延期したため、次年度使用額が生じた。今後、主として、真空チャンバーを用いた実験のための物品の購入および旅費として使用する。
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