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2018 年度 実施状況報告書

系外地球型惑星マントル対流シミュレーション:大きさ・組成・圧縮の効果の整合的理解

研究課題

研究課題/領域番号 18K03724
研究機関愛媛大学

研究代表者

亀山 真典  愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 教授 (70344299)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード太陽系外地球型惑星 / スーパー地球 / マントル対流 / 数値シミュレーション / 断熱圧縮
研究実績の概要

多様な地球型惑星のマントルダイナミクスの整合的な理解を進める第一歩として、本年度は応募者が開発してきた2次元箱型領域におけるマントルの熱対流シミュレーションプログラムを使用して、対流の様式に影響を及ぼすと期待されるいくつかのパラメータの値を系統的に変化させて数値シミュレーションを実施した。その際、大きな地球型惑星のマントル内部でとりわけ重要となるマントル物質の圧縮性の効果に特に注目してパラメータ値の選定と解析を行った。
まず第1に、地球と同じ平均組成を持ちながら、質量の異なる地球型惑星を対象としたマントルの熱対流シミュレーションを実施し、断熱圧縮の効果が顕著となる惑星質量の最小値を推定した。その結果、地球質量と比べて約4倍以上の質量をもつ地球型惑星では断熱圧縮がマントルの対流様式に大きく影響を及ぼし、圧縮性の効果を無視した場合と比べてリソスフェアが非常に厚く発達することに加え、マントル深部からの高温の上昇流の活動が著しく弱まることを見出した。なおこの成果は雑誌 Earth, Planets and Space に論文として発表済みである。
第2に、地球の10倍の質量を持つ「スーパー地球」のマントル内に期待される圧縮性の強さを前提とし、(i) 熱伝導率や粘性率といったマントル物質の物性やその空間変化、および (ii) 放射性元素の崩壊によるマントル内部での発熱がマントルの熱対流の構造に与える影響を調査した。(i) のシミュレーションにより、熱伝導率の深さ依存性が十分強く、かつマントルの浅部と深部での粘性率のコントラストが十分に大きい場合には、「深部成層圏」とでもいうべき温度の安定成層で特徴づけられる構造がマントルの最深部に発達することが分かった。また (ii) のシミュレーションにより、マントル内部での発熱は前述の「深部成層圏」の発達を促進する効果があることも分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2次元箱型形状モデルを用いたシミュレーションが順調に進んでいる。これにより広大なパラメータ空間の網羅的な調査の第一歩となる、マントル物質の物性の効果や惑星の大きさの効果を検討するためのシミュレーションが当初の計画通りに実施できている。また次の段階として、「対流容器」たるマントルの3次元形状の影響を調査するための予察的なシミュレーションの実施に向けて、2次元円環形状モデルの整備も滞りなく進んでいる。

今後の研究の推進方策

第1に、2次元形状モデルを用いたシミュレーションを今後も継続的に実施する。特に、これまで主に使用してきた2次元箱型形状モデルに加えて2次元円環形状モデルを用いたシミュレーションを実行し、両者で結果を比較する。これによりマントル物質の物性や圧縮性が対流様式に及ぼす効果が、「対流容器」たるマントルの形状によってどう影響されるかを検討する。 なお場合によっては、軸対称性を仮定することで「2次元化」した球殻形状モデルを新たに開発することも見込んでいる。このモデルを開発することには、マントルの形状の効果を3次元空間に外挿した場合の効果を見積ることに加え、マントル深部からの上昇プルームのダイナミクスに関するシミュレーション研究の実施も念頭に置いている。
さらに次の段階では3次元モデルを用いて、ターゲットを具体的に絞ってシミュレーションを実施する。ここでは先の2次元モデルを用いたパラメータ探索の結果を利用し、地球と似たマントル対流が発現すると見込まれる条件を用いたシミュレーションを主に想定している。ただし、場合によっては実際に発見されている太陽系外地球型惑星を想定したシミュレーションにより、「その地球型惑星は本当に生命を宿すのか?」という問いへの答を優先することも想定している。

次年度使用額が生じた理由

2次元形状モデルによるシミュレーションが順調に進んだため、年度内に新たな計算機資源を追加で導入する必要がなくなった。これによって生じた次年度使用額と翌年度分を合わせた額により、当初の想定よりも高度な計算機資源の導入や研究支援者の雇用を計画している。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Effects of adiabatic compression on thermal convection in super-Earths of various sizes2018

    • 著者名/発表者名
      Miyagoshi Takehiro、Kameyama Masanori、Ogawa Masaki
    • 雑誌名

      Earth, Planets and Space

      巻: 70 ページ: 8 pages

    • DOI

      10.1186/s40623-018-0975-5

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 強い圧縮性をもつマントルの熱対流シミュレーション: スーパー地球のマントル対流に対する物性変化と内部発熱の影響2019

    • 著者名/発表者名
      亀山 真典
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2019年大会
  • [学会発表] スーパーアースのマントル対流シミュレーショ2019

    • 著者名/発表者名
      宮腰 剛広、亀山 真典、小河 正基
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2019年大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Two-dimensional numerical simulations on the dynamics of cold descending slabs in the mantle: important roles of trench migration2018

    • 著者名/発表者名
      Mana Tsuchida and Masanori Kameyama
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2018年大会
    • 国際学会
  • [学会発表] 火成活動とプレートテクトニクスの3次元モデリング: 岩石惑星マントルの熱化学進化の解明に向けて2018

    • 著者名/発表者名
      亀山 真典、小河 正基、宮腰 剛広、柳澤 孝寿
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2018年大会
  • [学会発表] 粘性率の応力履歴依存を考慮した、プレート運動を伴う3次元マントル対流モデルの開発2018

    • 著者名/発表者名
      宮腰 剛広、亀山 真典、小河 正基
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2018年大会
  • [学会発表] Water circulation linking with the mantle convection and hydrous mineral phase changes2018

    • 著者名/発表者名
      Takeo Kaneko, Tomoeki Nakakuki, Masanori Kameyama, and Hikaru Iwamori
    • 学会等名
      The 2nd Asia-Pacific Workshop on Lithosphere and Mantle Dynamics (AGMT2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] Numerical simulations on formation and avalance of stagnant slabs2018

    • 著者名/発表者名
      Mana Tsuchida and Masanori Kameyama
    • 学会等名
      The 2nd Asia-Pacific Workshop on Lithosphere and Mantle Dynamics (AGMT2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] Numerical experiments of mantle convection of massive super-Earths: Roles of interaction between adiabatic temperature change and spatial variations in physical properties2018

    • 著者名/発表者名
      Masanori Kameyama, Mayumi Yamamoto, Mifuyu Kinoshita, Saki Nakamura, Masaya Murata, and Yuya Kinoshita
    • 学会等名
      The 2nd Asia-Pacific Workshop on Lithosphere and Mantle Dynamics (AGMT2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] スラブ挙動に対する海溝後退速度の時間変化の影響に関する数値シミュレーション2018

    • 著者名/発表者名
      土田 真愛、亀山 真典
    • 学会等名
      日本地震学会2018年度秋季大会
  • [学会発表] A three-dimensional numerical model of tectonic plates that develop due to a stress-history dependent rheology2018

    • 著者名/発表者名
      Masaki Ogawa, Takehiro Miyagoshi, and Masanori Kameyama
    • 学会等名
      American Geophysical Union 2018 Fall Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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