多様な地球型惑星のマントルダイナミクスの整合的な理解を進める一助として、応募者が開発してきたマントル対流の2次元シミュレーションプログラムを使用して、対流の様式に影響を及ぼすと期待されるいくつかの物性パラメータの値を系統的に変化させて数値シミュレーションを行った。具体的には、一昨年度までに開発した2次元円環領域内マントル対流シミュレーションプログラムを用いて、地球の10倍の質量をもつ「スーパー地球」のマントル内に期待される圧縮性の強さを前提とし、粘性率の値やその温度・圧力依存性の強さ、および熱伝導率の深さ(圧力)依存性の強さがマントルの熱対流構造に与える影響を調査した。特に今年度は、この成果に基づいて昨年度中に学術雑誌に投稿していた論文の改訂と、査読者の指摘に応えるための追加のシミュレーションを実行した。その結果、熱伝導率の深さ依存性が十分強く、かつマントルの浅部と深部での粘性率のコントラストが十分大きい場合にはマントル最深部に「深部成層圏」とでも呼ぶべき安定な温度成層が発達すること、および「深部成層圏」の発生にはマントル内の断熱温度変化が支配的な影響を及ぼしていること、さらには対流容器が「まるい」ほど「深部成層圏」の発生が抑制されることを改めて確認するとともに、これらの新しい結果を含めることによってに論文原稿の改訂版が Geophysical Journal International 誌に受理・出版されることとなった。
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