研究課題/領域番号 |
18K03726
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研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
渡部 重十 北海道情報大学, 経営情報学部, 教授 (90271577)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超高層大気 / 電離圏 / 大気プラズマ相互作用 |
研究実績の概要 |
サウンディングロケットから放出したリチウム原子やTMA(Trimethyl aluminum:トリメチルアルミニウム)により生成したリチウム雲やTMA雲の運動から,地球大気の高度100km付近に存在する~100m/sの大気風速度シア(高度幅~20km)とそれに付随する大気重力波を研究代表者らは発見した。しかし,希薄な大気測定の困難により大気とプラズマの運動や電磁場を同時にその場観測した例はない。高度100km付近に存在する~100m/sの大気風速度シアとそれに付随する大気重力波を,イオンゲージを利用した大気センサー,プラズマと電磁場の測定機器をロケットに搭載し大気プラズマ結合領域を直接観測することで,下層大気,上層大気,電離圏,プラズマ圏,磁気圏を結合する要である熱圏下部の大気プラズマ結合の物理過程を明らかにする。 イオンゲージを活用した大気密度と大気風速度をその場で測定可能とするために,サウンディングロケットに搭載する大気センサーの振動試験や真空チェンバ内でのキャリブレーションを実施した。様々な形状の大気集積装置周辺の大気密度や圧力分布を粒子コードで計算するプログラムを開発した。この結果を基に,大気センサーの設計を完了した。 これらの発見と知見を惑星大気にも拡張した。その一例として土星の大気プラズマ結合について研究を進め,成果を国際誌ICARUSで発表した。エンケラドスから放出された水を起源とするダストは,周囲の大気プラズマと相互作用し土星内部磁気圏プラズマの運動に大きな影響を与えている可能性を指摘した。ロケット実験や惑星大気プラズマモデリングによる大気プラズマ研究の成果は国内外の学会や研究会で多数報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
地球大気とプラズマの相互作用を解明するためには,高度100km付近の大気とプラズマ尾を同時に測定する必要がある。本研究では,イオンゲージを活用した大気密度と大気風速度をその場で測定可能とするために,サウンディングロケットに搭載する大気センサーの振動試験や真空チェンバ内でのキャリブレーションを実施した。様々な形状の大気集積装置周辺の大気密度や圧力分布を粒子コードで計算するプログラムを開発した。モデリングと機器開発を同時に行うことで精度の高い装置を開発できる。ロケットに搭載するレベルまでの開発が終了したことから,当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
観測ロケットに搭載し大気を直接観測するために,JAXA/ISASと調整を行っている。ロケット打ち上げの日程が決まり次第,最終的な機器開発を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
JAXA/ISASのチェンバで使用するケーブルや窒素ガスの使用量が少なかったこと,プログラム開発が順調に進展したことが原因である。観測ロケット搭載用の開発が次年度から進めることになったため,チェンバを利用した最終チェックを実施する。
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