| 研究課題/領域番号 |
18K03740
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| 研究機関 | 東京学芸大学 |
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研究代表者 |
中野 幸夫 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50364112)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | ヨウ素循環 / 地球温暖化 / エアロゾル / 高感度分光法 / 大気化学 |
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| 研究実績の概要 |
ヨウ素エアロゾルは地球温暖化などに影響を与える要因であるが，その生成源となる大気中のヨウ素化合物の生成過程の定量的な評価は十分になされていない。大気中に生成されるとヨウ素エアロゾル生成を引き起こす気相ヨウ素分子の大気中への生成・放出の新たな過程として，海洋中のヨウ化物イオンの光分解が一つの候補として考えられる。本研究では，このヨウ化物イオンの光分解による気相ヨウ素分子生成過程の高精度な定量的評価を目的に，その目的に必要とされる温度，水素イオン指数(pH)，溶存酸素量（DO），ヨウ化物イオン濃度，水深などの海洋条件における各パラメータ依存性の実験的決定をキャビティーリングダウン分光法（CRDS法）や長光路吸光分光法（LP-ABS法）などの高感度分光測定法を用いて研究を行い，それらの研究により得られた実験結果を統合して，ヨウ化物イオンの光分解による気相ヨウ素分子生成過程が実際の大気へ与える影響力についての正確で高精度な定量的評価を行うことを目的としている。研究2年度目においては，海洋中においてどの水深までヨウ化物イオンの光分解が起こるのかということに対する知見を得るため，ヨウ化物イオンの光分解による気相ヨウ素分子生成量に対するヨウ化物イオン水溶液の水深依存性を調査した。その結果，水深と気相ヨウ素分子生成量の間には線形比例関係が存在する可能性があることが示唆された。今後，ヨウ化物イオンの光分解による環境影響を評価するためには，より水深依存性のより詳細な研究を行い，水深依存性についてのパラメータ化を行う必要があることがわかった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度には，本研究の成果がアメリカ化学会のACS Earth and Space Chemistryという国際学術誌に論文として採択された。今年度の研究は，その論文で報告している内容を各パラメータ依存性の観点から詳細に調査している段階である。そのため，研究業績という形での成果は上げられていないが，現時点で様々な知見が得られ始めているので研究自体は順調に進んでいると考えられる。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究は，ヨウ素エアロゾル生成に繋がる気相ヨウ素分子の生成過程の定量的な評価を目的としている。ヨウ化物イオンの光分解による気相ヨウ素分子の生成過程へのpH，DO，ヨウ化物イオン濃度の依存性の調査は研究初年度においてすでに終了している。また，この生成過程には，温度や水深などのパラメータも影響を与えると予想される。そこで，研究2年度では，水深依存性について調査を行い，水深と気相ヨウ素分子生成量の間には線形比例関係存在可能性があるなどの一定の知見が得られている。ヨウ化物イオンの光分解による環境影響を評価するためには，この水深依存性のより詳細な研究を行う必要があるため，研究3年度においても，研究2年度に引き続き水深依存性についての詳細な調査を行う予定である。また，温度依存性についての調査についても着手する予定でもある。以上の研究により得られた実験結果を基に，実際の大気へ与える影響力についての正確で高精度な定量的評価も行う予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
次年度への繰越金は生じたが、約３万円とそれほど大きくない額であり，研究遂行には影響のない程度の金額である。次年度使用分となった経費は、次年度においてすでに購入することが想定されている水深依存性測定用の改良型反応測定用容器に必要なアクリル材の加工の経費などの補填に充てる予定である。
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