研究課題
データ解析による研究の進展としては2点ある。1点目は、雲レーダーを用いた夏季の積雲-積乱雲の発生、発達の事例解析である。発達度合いの異なる2つの対流雲を対象にその違いについて研究を進めた。同じ日の、同じような場所、時間帯で発達する2つの雲では一般には環境場は同一と見なせる。したがって、初期の浮力がそもそも大きい以外に、先行する雲が局所的に環境場を作り変えたり、発生する対流がいかに浮力の損失なく発達できるかが発達の度合いに違いをもたらすと考えられる。本研究では、対流雲の規模が大きいほど周囲との混合が相対的におさえられ、対流を引きおこす浮力が失われにくく、したがって発達しやすいのではないかという仮説をたてた。そして、雲レーダーによる雲の観測から対流雲の規模をとらえ、最終的な雲の発達度合い(降水の強さ)との関係性について調べた。2つ目として、Kaバンド(波長8.6mm)の雲レーダーによる長期の偏波観測から、液相域、固層域、および融解層付近のレーダーパラメータの統計的特徴を明らかにした。粒子の凍結は潜熱の放出による対流雲のさらなる発達を引き起こすため、粒子の相の状態を区別することは重要である。これらの研究成果について学会での発表を行うとともに、オンラインで開催された複数の学会への参加や、近年の論文、図書による情報収集によって研究成果の位置づけを行った。また、査読付き雑誌に投稿するために執筆を含む準備を実施した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. B1 (Hydraulic Engineering)
巻: 77 ページ: I_1303~I_1308
10.2208/jscejhe.77.2_I_1303