研究実績の概要 |
オゾンの衛星観測が開始された1970年代以降、膨大な衛星観測データが蓄積され、オゾンの長期再解析も実施されている。しかし、大気の長期再解析では衛星センサー毎のバイアス補正が適切に処理されておらず、あるいは補正されたデータセットを用いてあったとしてもオゾンモデルが簡易版であるなど、それらのプロダクトからオゾン及びその生成・消滅にかかわる大気微量成分の長期変動及を解明するには課題が多い。 本研究では、入手可能な Level 2 衛星データセットを全て取得する (20種類, 1970-2016: BUV-Nimbus4, TOMS-Nimbus7, TOMS-Earth Probe, GOME-ESA, -TOGOMI, SCIAMACHY-ESA, -TOSOMI, OMI-TOMS, -DOAS, GOME2A, GOME2B, OMPS-NASA, SBUV-Nimbus7, SBUV2-NOAA9(-N9), -N11, -N14, -N16, -N17, -N18, -N19) 。衛星および地上観測のデータは、様々な年代、観測測器、観測要素を含んでおり、データを一元的に管理・処理するために統一形式でデータアーカイブを行う。 衛星が地上観測上空近傍を通過したときの毎日overpassデータを作成し、衛星毎のバイアスや衛星データ自身の経年ドリフトを地上観測の比較して取り除くことで、個々の衛星データセット、及び合成したデータセットについて、それぞれ均質なデータセットを作成する。バイアス補正して得られた均質な観測データと最先端の化学気候モデルとから二次元変分法によるデータ同化を行う。以上により、従来にない高精度のオゾン長期再解析を実施し、得られたデータセットを解析することで、オゾンの長期変化を解明する。
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