研究課題/領域番号 |
18K03749
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
今田 由紀子 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 主任研究官 (50582855)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 季節予測システム / ENSO予測 / マルチモデル比較 / 大気海洋結合モデル |
研究実績の概要 |
熱帯太平洋に発生するエルニーニョ・南方振動(ENSO)現象は、数か月先の異常気象予測の鍵となる現象であるが、事例別に見ると、最先端の気候モデルを持ってしてもENSOの発達・衰退の予測を大きく外すケースが少なからず存在し、その原因は事例・モデル・手法毎に異なる。本研究では、これまで難しいとされてきた複数の異なる季節予測システムを並行して実行するマルチモデル季節予測可能性研究を実施し、事例別に予測の鍵となる物理プロセスを明らかにすることを目的としている。 本年度は、実行準備が整っている3つの季節予測モデル:①第5期結合モデル相互比較計画(CMIP5)の代表モデルの一つであるMIROCをベースとした季節予測システム、②気象庁現況季節予報システムCPS2、③気象研究所の地球システムモデルをベースとした新しい予測システムのうち、①と③の予測結果の比較を集中的に行い、季節スケールの予測に加えて数年先の予測結果についても検証を行った。特に、先行研究においてマルチモデル比較をした例が少ない、海洋内部の場の差異に注目して解析を進めた。熱帯海洋の10年規模変動の駆動メカニズムはモデル間で違いが大きいことが知られており、このことが2000年代のENSOの予測精度に関連している可能性が示唆された。 本課題は、複数の季節予測モデルによる数値実験から科学的知見を引き出すことを目指すものであり、ここから得られる知見は、飽和しつつある季節予測技術を次の段階に進めるためのマイルストーンにつながるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度までの遅れに加え、セキュリティインシデント発生のため必要なデータにアクセスできない期間があったため。
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今後の研究の推進方策 |
3つの季節予測システムの予測結果の比較から、特に2000年代のENSO事例の予測結果の差を生み出した要因を絞り込むための発展的な解析を行い、得られた成果を論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、予定していた国内外の学会の多くがオンライン開催となったため、出張費の一部が未使用となった。未使用分は、今年度の論文投稿、および出張費に充てる計画である。
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