研究実績の概要 |
2015年11月から12月および2017年11月から2018年1月にかけて、インドネシア・スマトラ島沿岸において海洋地球研究船「みらい」(MR15-04, MR17-08航海)で実施されたライダー観測の品質管理済みデータを用いて、アンサンブルデータ同化システム(AFES-LETKF data assimilation system: ALEDAS2)を用いた同化実験を実施した。また比較実験として、同期間の「みらい」で実施されたラジオゾンデ観測の同化実験を実施した。 残念ながら全ての実験を終了した後に、提供されたライダーデータの高度方向の再現性に不具合が存在することが報告された。結果として、正しいデータを用いた実験ではないため、十分な解析ができなかった。しかしながら、実施した同化実験から、時間分解能の高いライダー観測データの同化が、比較的解像度の低い全球モデルにおいても夜間の水蒸気の短い時間変化を反映して改善される傾向を示すことができた。解析値においても日中の陸上においてはラジオゾンデの高頻度観測の影響が、夜間の海上においてはライダーの高い時間分解能が反映された水蒸気の日変化を捉えることができており、厳密な比較には至らなかったが、両者を同化した実験が最もよく水蒸気の日変化を表すことが示唆された。 また、2015年と2017年におけるラジオゾンデ観測のインパクトを、MJOフェーズの違いやコールドサージの解析等に注目して比較した結果、MJOの通過前は観測点より西のインド洋で、通過後は西風が到達する中部太平洋域まで、解析誤差減少率10%を超える大きなインパクトが見られ、南シナ海からインドシナ半島においては、Borneo Vortex の解析に対して5-10%の減少が見られるなど、「みらい」での高頻度のラジオゾンデ観測に対して強いインパクトが現れることが示された。
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