研究課題/領域番号 |
18K03757
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山田 桂 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (80402098)
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研究分担者 |
瀬戸 浩二 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (60252897)
入月 俊明 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (60262937)
坂井 三郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学プログラム), 主任研究員 (90359175)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 降水量 / 汽水湖 / 夏季 / 酸素同位体比 / 貝形虫 |
研究実績の概要 |
2020年度は,コア試料から得られた貝形虫Bicornucythere bisanensisの成体殻の酸素・炭素同位体比について,204個体の分析を実施した.特に,2019年度に実施した粒度分析,全有機炭素量,全窒素量の値に急激な変化が認められ,イベント堆積物の可能性がある試料を選び,分析に用いた.2020年度までの結果として,コア深度65~82 cm,131 cm,207 cm,246 cmの層準について,貝形虫1殻ごとの酸素・炭素同位体比を得ることができた. 酸素同位体比は1~-2.5‰で変化し,試料におけるそのばらつきは0.1~2.4と幅が認められた.特に,コア深度76 cm,80~82 cmの試料から得られた貝形虫殻の酸素同位体比の値のばらつきは他と比べて小さく,酸素同位体比値は0‰以上と高い値を示した.中海では,貝形虫B. bisanensisの成体殻の酸素同位体比は夏季の数日~数週間の底層塩分を反映していることから,数年間の夏季の底層塩分の変化が大きな時期と小さな時期があったことが明らかになった. 2018年度に研究を行った現生貝形虫殻の酸素同位体比と降水量の相関について,再検討を行った.従来は降水から中海の底層塩分変化に反映されるまでの時間差を考慮していなかった.また,現在の中海は気圧の影響を受け日本海から海水が底層に流入し底層塩分に影響を与えることから,これらを再度考慮した上で,周辺の降水量と中海の底層から得られた貝形虫殻の酸素同位体比との相関を検討した.その結果,従来より両者にはより強い相関が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症拡大の影響により予定した回数の学外での分析にいけず,2020年度に酸素・炭素同位体比分析を実施予定の試料について,約半分のデータしか得られなかった.また,学外全国共同利用により分析機器を借用したが,故障のため利用期間が限られてしまい,予定した全ての分析を実施できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
酸素・炭素同位体比の分析は,試料を郵送し共同研究者に分析を依頼する方法で,2021年度も分析を実施する.合わせて,感染状況を的確に判断して,可能な限り分析に行き,予定の分析を完了させることを目指す.また,データが揃い次第,考察とまとめを実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス拡大の影響により,予定していた分析を実施することができず,その旅費と分析にかかる試薬・実験器具の購入代が残ったため.2021年度に分析回数を予定より増やして使用する.
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