研究課題/領域番号 |
18K03759
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮田 秀介 京都大学, 防災研究所, 助教 (80573378)
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研究分担者 |
長谷川 祐治 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (60342664)
中谷 加奈 京都大学, 農学研究科, 助教 (80613801)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | TDR / 土砂濃度鉛直分布 / 水路実験 / 構成則 |
研究実績の概要 |
土石流の土砂濃度鉛直分布を計測するための手法の開発を行った。基本的な計測手法はセンサーが設置された物質の比誘電率を計測するTime domain reflectometry(TDR)法である。計測結果である比誘電率は水および砂粒子の比誘電率の合成で表されるため,比誘電率計測から土砂濃度を求めることができる。水路実験において土石流を計測するために適当なセンサー形状やその設置方法を検討した。水路実験において流れを阻害しないよう,角を滑らかに成型した平板と2本のステンレス棒を組み合わせて計測用センサーとした。予備実験を実施し,本センサー形状は流れを乱さずに複数および底面での土砂濃度計測が可能であることを確認した。 水と実験砂を混合することで計測精度についての検討を行った。体積土砂濃度を0.15まで変化させ,TDR計測を行った。その結果,実用上,体積濃度±0.01の精度で計測できることがわかった。さらに緩勾配水路での様々な粒径(0.12-約20mm)および流量の掃流砂を流す予備実験に本手法を適用し,底面での土砂濃度計測を実施した。予備実験では,粒径に関わらず土砂濃度が計測できることが確認できた。 土石流の構成則の妥当性を検討するための解析モデルを実際の山地流域にモデル降雨を与える数値実験を行った。ここでは広く用いられるモデルの一つである高橋モデルを利用した。土石流によって引き起こされうる被害範囲を示すことができた。今後の水路実験に基づく検討を踏まえて改良したモデルを用いることで,より正確な土石流の到達範囲や氾濫堆積厚を提示することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が日本学術振興会「国際的な活躍が期待できる研究者の育成事業」により年度途中から在外研究を行うこととなったため,当初の予定よりもやや進捗が遅れている。ただ,在外研究においても同様の計測手法の実河川での適用を試みているため,その知見を来年度以降にフィードバックできると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の在外研究が2019年8月までであるので,帰国後に本格的な水路実験を実施する。水路の整備や実験資材の発注が帰国後となり時間が限られるため,十分な計画を立てて臨む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備実験の補助に人件費を計上していたが,補助人員は雇用せずに予備実験を行ったため,次年度使用額が生じた。繰り越しとなった額はわずかであり,2019年度の仕様計画に大きな変更はない。
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