本研究では、気候変動に対応した植生分布予測精度の向上を目指し、植物個体の空間配置構造を陽に考慮せずに、位置モーメントを用いてギャップダイナミクスを精度良く記述するサイズ構造モデルを開発した。このモデルは、植物個体間の競争や森林の更新・遷移過程を考慮し、広域スケールでの植生分布の変化を高精度に予測可能とするものである。また、長期にわたる毎木センサスデータを用いてモデルの妥当性を検証し、空間明示型個体ベースモデルと比較して精度の高いシミュレーション結果を提供することが確認された。しかし、数値計算上のアルゴリズムやクロージャー問題など、解決すべき課題も残されている。
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