研究課題/領域番号 |
18K03769
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研究機関 | 山梨県富士山科学研究所 |
研究代表者 |
山本 真也 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (50526754)
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研究分担者 |
大河内 直彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門, 部門長 (00281832)
横山 祐典 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10359648)
吉本 充宏 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (20334287)
宮入 陽介 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (30451800) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 放射性炭素同位体 / 湖底堆積物 / 脂肪酸 / 噴火史 |
研究実績の概要 |
今年度の研究では、富士山北麓・河口湖の堆積物コア中(KA-1)の脂肪酸の化合物レベル14C年代測定を行い、火山噴出物(大室スコリア(Om))の年代推定を試みた。KA-1コアの4層準から単離したC16, C24, C26脂肪酸は、いずれの化合物も下層ほど古い堆積年代を示した。表層試料中のC16脂肪酸の14C年代(983 ± 56 yr BP)は、先行研究で得られた湖のリザーバー年代(937 ± 22 yr BP)とほぼ一致しており、植物プランクトン由来であることが示唆された。また、同堆積物コア中のカワゴ平テフラ(Kg)の上下層中のC16脂肪酸の年代から、当時のリザーバー年代が1002 ± 73 yr BPであり、現在のリザーバー年代(983 ± 56 yr BP)と誤差の範囲内で一致することが明らかとなった。そこで、このリザーバー年代を基に同コア中の大室スコリアの上下層で得られたC16脂肪酸の14C年代を補正し、暦年較正を行なったところ、同コア中の植物化石から推定される年代(2988-2870 cal BP)や既報の年代値(3072-2798 cal BP; Obrochta et al., 2018)とよい一致を示し、化合物レベル14C年代法が富士山の噴火履歴の解明に有効であることが明らかとなった。河口湖では今後、C16脂肪酸による年代測定層準を増やすことで、富士山北麓での詳細な噴火履歴の解明が可能となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
河口湖の堆積物コアの分析から、当初想定していた脂肪酸を対象とした放射性炭素年代測定により、噴火年代の推定が可能であることを実証できたため。
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今後の研究の推進方策 |
テフラ層を多く含む山中湖の堆積物についても、脂肪酸による放射性年代測定法による噴火年代の推定手法の確立を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、化合物の分離・精製のための出張を年2回見込んでいたが、代表者の所属研究機関に同様の分析機器が導入されたため、出張が一回となり余剰金が生じた。次年度以降、代表者の所属機関で分析を行うための消耗品が必要となるため、これに充当する予定である。
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