研究実績の概要 |
剪断応力依存性を表すパラメータcを導入したNagata 則(Nagata et al., 2012)に, Linker & Dieterich (1992)が導入した,法線応力依存性を表すパラメータを組み込んだRSF則に基づいて地震発生トリガーについて数値シミュレーションを行なった.それまでは円形アスペリティを仮定し剪断応力変動のみを考えていたが,今年度は,剪断および法線応力の両者について,静的および動的な擾乱を与え,time to instability(擾乱を与えてから地震が発生するまでの時間)を求めた.動的応力変動と静的応力変動については これまで知られているCFFの値が同じであってもtime to instability は異なっており,CFFの大きさでトリガー効果を比較することはできない.そこで,動的応力変動が生じたとき,それと等価なトリガー効果を及ぼす静的な CFFeqの評価式を求め,CFFeqにより静的変動の場合と比較したトリガー効果を見積ることができることを示した.CFFeqは変動の時間積分を含む関数となっているため,トリガー効果は周波数依存性はほとんどないと推定されるが,そのことは数値シミュレーションによっても確認された.
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