研究課題/領域番号 |
18K03781
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中道 治久 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00420373)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 桜島火山 / 群発地震 / マグマ貫入 / ダイク / 震源 / 発震機構 / 破壊強度 / 応力場 |
研究実績の概要 |
マグマの貫入によって周囲の岩石が変形し,応力場変化により地震が発生する.そして,噴火に至ることがしばしばある.桜島火山において2015年8月15日に数時間という短時間に顕著な地殻変動と群発地震が発生した.そこで,震源と発震機構から得られるP軸とT軸の時空間変化を求めた.震源は地殻変動から推定されたダイクの上端付近と下端付近に分布していることが分かった.そして,地殻の岩石の破壊強度が温度および封圧の関数にて浅部から深部へ増大することを考慮してダイクの膨張過程と地震発生機構との関係を議論した.これによりダイクの膨張の初期段階である7時ー10時30分において地震は浅部(深さ0.3-1 km)で発生し,発震機構は広域応力場と調和的であるが,ダイクの膨張が加速し(時刻10時30分ー12時),そして次第に終息する過程(時刻12時ー24時)において,浅部だけでなく深部(深さ1.5ー3.5 km)において地震が発生し,広域応力場と調和的な地震だけでなく広域応力場と調和的なP軸やT軸の方向と直交するP軸やT軸を持つ地震が発生したと解釈した.これは,ダイクの膨張の進行によりダイク周辺の応力場が変化がある閾値を超えたために広域応力場この現象は数時間という短時間に起こっており,マグマの急激な貫入とそして停止のプロセスを反映している.短時間で貫入したマグマが噴火に至らず停止した事実から,今回明らかになった群発地震の例は,噴火に至らない場合の地震活動の典型であるかどうかの検証を今後の研究に期待している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年8月15日に桜島火山にて発生した群発地震の発生機構を明らかにして,論文として出版できたため.
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今後の研究の推進方策 |
国内外の他の火山の噴火事例もしくは噴火未遂事例について地震データを収集して解析を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた研究打合せを別途出張と併せて実施した.また,新型コロナウイルス感染症対応のため出張をしなかった.そのため,旅費がかからなかった.次年度は新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みて使用していく.
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