火山噴火に前駆して火山近傍では構造性地震が発生する。構造性地震に伴った地殻変動の変動源の体積変化量の推定値もしくは火砕物噴出量と構造性地震の積算地震エネルギーを行った。世界中の事例調査を行ったWhite & McCausland (2016)のデータベースに,桜島火山の1814年大正噴火,インドネシアのメラピ火山の1994年から2010年の6回の噴火,口永良部島の2020年の噴火,そして桜島火山の2015年の群発地震について,積算地震エネルギーと噴出量や地殻変動源の体積変化を追加して,地震エネルギーから噴出量もしくは地殻変動源体積変化量の推定式の精緻化を行った。 桜島火山の2015年の群発地震は数時間において顕著な地殻変動を伴って発生した。波形の相互相関を用いて走時の読み取り精度を向上させて群発地震の震源を求めた。そして,初動極性と振幅から発震機構を推定した。震源は地殻変動から推定されたダイクの上端付近と下端付近に分布していることが分かった。そして,地殻の岩石の破壊強度が浅部から深部へ増大することを考慮してダイクの膨張過程と地震発生機構との関係から,ダイクの膨張の進行により応力場変化により応力が破壊強度を超えたため地震が発生し,応力場変化により発震機構の変化が説明出来ることを示した。群発地震は,マグマの急激な貫入とそして停止のプロセスを反映した現象と言える。 火山では構造性地震だけでなく低周波地震や微動が発生する。これらの火山性地震の検知および分類を自動的かつ客観的に行うために,機械学習を導入して,桜島火山を対象とした研究を行った。機械学習において必要な特徴量の重要度の指標を導入した。特徴量としては特定周波数帯のスペクトル振幅などあらかじめ用意して,決定木から特徴量の重要度を判定した。そして,非階層的クラスタリング法にて火山性地震の分類行い,分類の正答率が約60%であった。
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