研究課題/領域番号 |
18K03783
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
川畑 博 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (90392943)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 貫入岩体 / magma finger |
研究実績の概要 |
2019年度は追加の地質調査を行うとともに、全岩化学組成分析を主に実施した。地質調査は、未固結堆積物へ貫入する玄武岩質マグマの流動方向や貫入形態を明らかにすることを目的とした。地質調査の結果、1枚の貫入岩が指状に枝分かれする産状(magma finger)を、室戸岬ハンレイ岩体の北東部で確認できた。この指状形態を貫入面上の線構造と見なすことで、マグマの流動方向を制約することが可能となる。先行研究では、室戸岬ハンレイ岩の岩石磁気データにもとづき、岩体の姿勢を貫入時の姿勢に戻す方法が提案されている(Kodama et al., 2018)。この補正方法を本調査で観察したmagma fingerに適用すると、マグマ流動方向は北北東-南南西方向で約30度の傾斜をもつと推定できる。また、今年度の調査では、ハンレイ岩体周辺部に分布する砕屑岩脈の一部は、主にプレーナイトと方解石からなる淡緑色の脈に切られていることもわかった。プレーナイト脈は剪断性の割れ目を充填しており、プレーナイト脈に沿った変位の大きさは20 cm程度である。今後、プレーナイト脈の分布や走向・傾斜についてもデータ収集を行う予定である。蛍光X線分析装置を用いた全岩化学組成分析の結果、室戸岬ハンレイ岩体周辺の堆積岩は67 wt%から77 wt% SiO2の組成範囲を示すことが明らかとなった。アルミナ飽和指数は0.8-2.5である。上記のほか、化学組成の特徴を3次元の図を用いて簡便に可視化できるツールを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの地質調査の結果をまとめるとともに、砕屑岩脈についても全岩化学組成を進める。また、堆積岩を構成する鉱物の種類・組成や岩石組織が、ハンレイ岩ー堆積岩貫入境界からの距離応じてどのように変化するかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究消耗品の納品が間に合わないことが判明し発注を見送ったために次年度使用額が生じた。この物品については2020年度に購入する予定である。
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