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2019 年度 実施状況報告書

マントル深部の対流を地震波散乱観測から解明する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03784
研究機関九州大学

研究代表者

金嶋 聰  九州大学, 理学研究院, 教授 (80202018)

研究分担者 ヘルフリック ジョージ  東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (80747163)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード下部マントル / 化学組成不均質 / 地震波散乱 / 地震計アレイ / 玄武岩物質
研究実績の概要

当該年度は、海洋プレートの沈み込みが生じている地域の下部マントルに存在する散乱体の分布を調べた論文を国際学術誌に公表した。この論文で調べた散乱体は比較的震源に近い領域に存在するものであり、その深さ分布を初めて明らかにすることができた。この深さ分布は、散乱体が玄武岩物質から構成されていると考えた場合に予想されるものと概ね調和的であった。
また、当該年度には、地震の震源近傍だけでなく、観測点アレイの近傍の下部マントルにある散乱体を検出する試みを新たに開始した。観測点近傍の散乱体に由来する散乱波と考えられる信号の到来が検出された。
研究分担者の東京工業大George Helffrich教授を招き散乱体研究の技術的な側面について共同作業を行なった。さらに下部マントルの不均質に関して共同研究を行なっているMichigan大学のJeroen Ritsema教授と共に、オホーツク海下とペルーの下にある下部マントル散乱体について研究を進め、それらの散乱体が最低50~100kmの大きさを持つことを突き止めた。これらはまた10程度の厚みを持つ褶曲したシート状の形状を持つことが示唆されており、これらの成果を国際学術誌に投稿し査読を受け現在改訂を行っている。
サモアのホットスポットの下にある太平洋LLSVP周辺に顕著な下部マントル散乱体が存在することを明らかにした。この結果をドイツのミュンスター大学で発表し同地の研究者と情報交換をすることができた。これによってマントル上昇流とそれによる玄武岩物質の巻き込みについて新たな知見が得られる見通しがたった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

地震波アレイのデータセットの構築は順調に進んでおり、ミシガン大学との共同研究も学術論文の投稿にこぎつけた。さらに、下部マントル不均質と重要な関連を有するにも関わらずこれまで調査する手段のなかった上部マントル遷移層の不均質についても新たな見通しが得られた。

今後の研究の推進方策

地震波アレイのデータセット構築にさらに取り組む。上部マントル遷移層の不均質とサモアのホットスポット周辺の散乱体分布をより明らかにしてそれぞれ国際学術雑誌に公表する。これらの成果を踏まえて、プルーム上昇やプレート沈み込みのマントルダイナミクスのモデルとの比較検討、地球化学的な知見との比較検討を行う。
観測点アレイ下の下部マントルの不均質を検出するための手法の確立を目指す。P'P'波の先駆波の検出手法についても再検討する。ScP波の先駆波データを再調査してマントル最深部の不均質構造について調べる。
下部マントルの海洋地殻トレーサーを含む対流シミュレーションの結果を用いて、対流に伴う地殻物質の挙動に関する定量的評価を進める。

次年度使用額が生じた理由

ミシガン大学Ritsema教授との共同研究を継続・深化させるために、今年度も同大学を訪れ下部マントル不均質の手法開発を進めたい。研究分担者のHelfrich教授との研究交流をさらに密接に行うためにも旅費を必要とする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Seismic scatterers in the lower mantle near subduction zones2019

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Kaneshima
    • 雑誌名

      Geophysical Journal International

      巻: 218 ページ: 1873-1891

    • DOI

      doing:10.1093/gji/ggz241

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] New USArray observations of 100-km scale, layered scattering structures2019

    • 著者名/発表者名
      Jeroen Ritsema, Satoshi Kaneshima, Sam Haugland
    • 学会等名
      American Geophysical Union, 2019 Fall meeting
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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