研究課題
北西インド高ヒマラヤ帯の沈み込みと上昇過程を推定するために、Uttarakhand地域変成岩類における空間的な温度―圧力条件と変成年代を推定した。その結果、この地域では1)2つの温度ー圧力条件の不連続が構造不連続に伴って観察されること、2)流体に飽和した部分溶融が漸新世初期に大規模に起きたことが明らかになった。一方で、中新世初期の変成作用による改変の程度は小さく、中央ヒマラヤ地域の高ヒマラヤ帯上昇過程とは大きく異なる。これらの結果を、国際誌に投稿した。高ヒマラヤ帯内部の北落ちの正断層について、薄片・露頭スケールにおける構造地質学的研究を実施した結果、正断層の以前には等斜褶曲などの圧縮運動が認識された。これらの圧縮運動は、漸新世初期の地殻厚化に関連する。正断層運動に伴って貫入する含電気石花崗岩岩脈のモナザイト年代は中新世初期を示し、正断層運動の時期を制約した。北西インドの超高圧型変成岩類について、9試料のジルコンのウラン-鉛年代測定を実施した。その結果、正片麻岩だけでなく苦鉄質岩の原岩年代も古生代初期であり、超高圧エクロジャイトの原岩は、従来考えられていたペルム紀のPanjal Trapsとは異なる可能性が高い。優白質メルトを伴う超高圧エクロジャイトが、マントル橄欖岩周辺で観察され、エクロジャイトが部分溶融を被ったことの直接的な証拠が得られた。
3: やや遅れている
コロナウイルスによる影響のために、予定していた海外地質調査や国際学会発表が実施できなかった。また、海外で実施する予定であった一部の分析が実施できなかった。
コロナウイルスの状況が好転次第、予定していた分析を実施していく。今年度も困難な場合は、分析方法あるいは分析場所を変更するなどの対策をとる。超高圧変成岩類の部分溶融の成因について探る。今後は、これまでの成果を国際誌にまとめ投稿するとともに、国際学会へ積極的に参加して研究成果をアピールする。
コロナウイルスの影響により、予定していた国際学会参加と海外調査実施が延長になった。また、海外で予定していた分析が延期になった。状況が改善次第、国際学会の参加、海外調査と分析を実施する予定である。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Lithos
巻: 382-383 ページ: 105923
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