研究課題/領域番号 |
18K03799
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小泉 早苗 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (60792504)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オリビン / 粒径 / 多結晶体 / プラズマ放電焼結法 |
研究実績の概要 |
本年度は、Ca輝石を含む人工合成カンラン石多結晶体および天然の幌満カンラン岩由来微粉末を実験室で焼結して緻密化させた合成岩石(多結晶体)を用いて、岩石中のカンラン石粒界近傍の組織観察及び組成分析を行った。幅約1 nm以下の狭い構造体である鉱物粒界近傍の組織観察は透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM-2010F, JEOL)を、微量元素の三次元の元素分布及び濃度測定は3次元アトムプローブ(3DAP)を用いて評価した。TEM観察のための薄片試料はイオンスライサー(EM-09100 IS, JEOL)を用いた。3DAP分析のための微細(~100 nm)試料作製はFIB(Focused Ion Beam)を用いて行い、カンラン石粒界を含む<200 nm四方の微細な測定用試料片の切り出したのち、粒界が尖端付近になるように針状試料(先端径~10 nm)を作製した。高分解能TEM観察からCa輝石入りのカンラン石と幌満カンラン岩試料はともに粒界及び三重点にメルトや他の介在物、クラックが存在しないことが確認できた。3DAP分析では、カンラン石2粒子間の60 nmにわたる3次元元素プロファイルの取得に成功した。カンラン石結晶粒界に直行する方向の濃度プロファイルからCaとAl元素の粒界偏析を検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料合成法・粒径制御法及び合成多結晶体試料の物性測定に関して国際誌2本、国内外の学会発表2件の成果発表を行う事が出来、本プロジェクトは順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
Ca輝石の添加量や粒径を変化させたカンラン石多結晶体試料の組織観察を電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)で、粒界近傍の元素構造や化学組成、化学結合状態の測定はエネルギー分散型X線分光器(EDS)と電子エネルギー損失分光器(EELS)を備えた走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いて行う。粒界近傍の3次元の元素分布及び濃度測定は3次元アトムプローブ(3DAP)を用いて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染対策による機器利用制限及び物品調達の遅延による計画の遅延による。当初の予定通り、実験に関する消耗品および試料の微細構造評価のための機器利用に使用する予定である。
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