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2020 年度 実施状況報告書

2016年熊本地震は阿蘇カルデラ噴火をトリガーするか?

研究課題

研究課題/領域番号 18K03803
研究機関京都大学

研究代表者

大倉 敬宏  京都大学, 理学研究科, 教授 (40233077)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード阿蘇カルデラ / 熊本地震 / マグマだまり / レシーバ関数 / 地殻変動 / トモグラフィー / 地震波干渉法
研究実績の概要

本課題では、阿蘇カルデラにおける巨大噴火の準備過程を解明するため、地殻深部にどのようにマグマが蓄積され、そして地表にマグマがどのように移動していくのかを地震学的にとらえるための観測研究を実施している。今年度は、阿蘇カルデラ内外の地震観測を継続するとともに、2009年以降に観測された遠地地震波形の整理を行い、RF解析のためのデータセット作成実施した。また、阿蘇カルデラ周辺の地殻変動源を明らかにするために、GPS観測と水準測量でえられた地殻変動データの解析をおこない、変動源を推定した。
地殻変動データ解析の期間は1997年6月から2004年10月まで(期間1)と2004年10月から2012年9月まで(期間2)であり、いずれの期間においても国土地理院のGPS観測点(GEONET)のデータと京都大学により実施された水準測量のデータを、期間2では京都大学のGPS観測点のデータを利用した。その結果、いずれの期間においても、阿蘇カルデラ内で長期的な沈降が観測されていることが明らかになった。そこで、球状圧力源とシルを変動源として仮定し、グリッドサーチによりその位置と体積変化を求めた。その結果、草千里下の球状圧力源と中岳直下の深部シルの収縮により、期間1および2の上下変動が説明されることが明らかになった。草千里下の球状圧力源の位置は前年度にトモグラフィーにより求められた低速度領域に一致する。一方、深部シルはレシーバ関数解析によって明らかにされている深部低速度領域と一致することが判った。このことは、深部低速度領域が長期間にわたる地殻変動を生じさせていることを意味している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

阿蘇火山の中岳では2019年4月から2020年6月まで噴火活動が断続的に発生し、これを含む長期間にわたり火山性微動の振幅が大きい状態が継続した。そのために、本研究で実施している遠地地震観測点でのノイズレベルが大きくなり、解析に必要な地震数が確保できなかった。また、コロナウイルスの影響により、研究協力者との議論や学会への参加ができなくなり、研究の進捗に遅れが生じた。
しかし、過去の地殻変動データの解析がすすみまたGNSS観測も順調に実施されていることから、研究の遅れは最小限にとどめられている。

今後の研究の推進方策

研究期間延長の申請がみとめられたので令和3年度も研究を継続する。
令和3年度は阿蘇カルデラにおける大規模カルデラ噴火の発生ポテンシャルを評価するために、マグマだまりの時間変化抽出のための地震観測とデータ解析を実施する。ターゲットとしている深部低速度領域は、長期間にわたる地殻変動源であることが明らかになったので、その領域のS波速度構造が時間変化している可能性は高い。
そこで、以下項目を実施する。通りである。
○遠地地震のレシーバ関数(RF)解析によるS波速度構造の時間変化の検出
阿蘇カルデラ内外の地震観測点でえられた遠地地震のレシーバ関数解析によるS波構造推定をおこなう。そして、その構造(マグマ溜まりの体積や地震波速度)の時間変化検出を目指す。構造に大きな変化がなくても、低速度領域(マグマだまり)上面における変換波のの振幅が時間変化するかどうかを調べ、マグマ溜まりのS波速度の時間変化をモニターする。

次年度使用額が生じた理由

阿蘇火山の中岳では2019年4月から2020年6月まで噴火活動が断続的に発生し、これを含む長期間にわたり火山性微動の振幅が大きい状態が継続した。そのために、本研究で実施している遠地地震観測点でのノイズレベルが大きくなり、解析に必要な地震数が確保できなかった。また、コロナウイルスの影響により、研究協力者との議論や学会への参加ができなくなり、研究の進捗に遅れが生じた。
したがって、研究期間をR3年度まで延長することにした。
繰り越した経費は、地震波形データ保管用HDDなどの物品費、(コロナの影響によるが)打ち合わせ旅費、学会参加費などに使用予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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