地球型惑星の内部構造と熱史を考慮した数値ダイナモモデルを用いて、外核の対流によって生成される磁場の構造とその時間変動を調査した。数百万年間程度の時間スケールの変動、内核成長による10億年スケールの長周期変動というの3つの時間スケールの磁場変動について研究を行った。 100万年程度の時間スケールについては、レイリー数を変えた数値実験による逆転頻度の違いに着目した。更に逆転頻度と逆転に要する時間との相関について調査し、得られた結果と古地磁気学的記録との比較を行った。 長周期変動については、内核成長に関する熱史計算の結果に基づいて各種パラメータを与え、離散的な内核サイズでのダイナモシミュレーションを進化曲線に沿って内部整合性を保ちながら行なった。様々なダイナモの進化モデルが得られたが、特筆すべきものとしては、生成される磁場の形態と磁場強度が短期間に急変するような結果が得られた。この結果は、月磁場のような、比較的短時間でダイナモ作用が停止したような場合を説明する際のアイディアの一つとして使うことができよう。また、内核の不均質成長を考慮した組成対流モデルによる対流シミュレーションを実施した結果、内核の不均質成長モデルの違いによって外核の対流構造とその時間変化が大きく異なることが分かった。このような違いが生じる物理的なメカニズムに関する考察を行った。更に、内核サイズの変化に伴う対流構造の違いが生じる物理的なメカニズムについて、詳細な解析・考察を行った。その結果、現在および過去の地球の流体核では、対流構造を支配するメカニズムが大きく異なる可能性が示唆された。
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