| 研究課題/領域番号 |
18K03810
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| 研究機関 | 国土地理院(地理地殻活動研究センター) |
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研究代表者 |
小林 知勝 国土地理院(地理地殻活動研究センター), その他部局等, 研究室長 (40447991)
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| 研究分担者 |
安藤 亮輔 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (10455256)
松尾 功二 国土地理院(地理地殻活動研究センター), その他部局等, 主任研究官 (80722800)
中埜 貴元 国土地理院(地理地殻活動研究センター), その他部局等, 研究官 (60511962)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 熊本地震 / 阿蘇カルデラ / 断層破壊 / 測地観測 / 数値計算 |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、内陸地震の断層破壊が火山体内部に進展した様子を捉えた熊本地震を足がかりに、地殻内構造の不均質が断層滑りの終焉にどのように関わっているのかを理解するため、地殻変動解析、重力データ解析及び動的破壊の数値計算を行う。本年度は、断層の滑り分布の推定と低密度体との位置関係の精査、動的破壊の数値計算を実施した。最終的に、本年度を含むこれまでの解析結果を論文としてまとめ、学術雑誌に投稿した。
断層モデル計算の結果、布田川断層の北東延長に分布する断層では、正断層成分をやや含みながら右横ずれが卓越する運動が推定された。滑りの中心はカルデラ西縁側の深さ数kmに集中しており、次第に滑りが減衰する。一方、東に分岐する断層においては、正断層成分を含みながら、東になるにつれ左横ずれが卓越する運動が推定された。これら断層面上の滑りは、低密度体に接触/貫入しており、その後滑りの大きさは減衰することがわかった。破壊の数値計算は、応力分布が一様の場合と阿蘇カルデラ内で低応力となる場合で実施した。地殻変動から推定された両分岐断層の滑り方向は、低応力場の存在の有無に依らず再現されることが分かった。一方、滑りの停止に関しては、低応力場の有無で差が見られた。北東延長の分岐断層は低傾斜角のため、どのような応力場であっても破壊は抑制されるが、東部の分岐断層では、応力一様の場合は破壊が止まらず進み続けるものの、低応力場があると自発的に破壊の進展が抑制されることが明らかとなった。
重力の解析で得られた低密度領域は、先行研究で知られている低S波速度や低比抵抗の領域と重なっており、地下に火山性流体を含む熱水系が発達していることが示唆される。温度が高い地殻内環境にあることが推察されることから、西から進展してきた断層破壊が、脆性破壊の能力を失うこの領域に到達したことで、東への進行を止めた可能性が考えられる。
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