研究実績の概要 |
(1)北海道北部天塩中川地域に分布する上部白亜系大曲層(サントニアン~カンパニアン期;約8350万年前)のメタン冷湧水性自生石灰岩体から得られた珪藻化石群集について,日本古生物学会の欧文学術雑誌「Paleontological Research」に原著論文を投稿し,受理された(Shimada et al., Late Cretaceous diatoms (Bacillariophyta) from the Teshio-Nakagawa area, Hokkaido, northern Japan: Significance for their origin and biostratigraphy).本課題の主たる対象は,同地域の上部白亜系佐久川層(セノマニアン期;1億~9390万年前)および佐久層(チューロニアン期;9390~8980万年前)である.天塩中川地域には海成の白亜系が連続的かつ厚く堆積していることが知られる.大曲層はこれら地層の上位に位置することから,同層に産出する珪藻化石群集を検討することは,同一地域における珪藻の進化的変遷を明らかにすることにつながり,非常に意義深い. (2)中川町自然誌博物館を訪れ,連携研究者と研究打ち合わせを行った.また,佐久川層および佐久層の試料の提供を受けた. (3)国立科学博物館地学研究部において,アンモナイト化石を含む未処理コンクリーション標本から,石灰岩セメント部分の提供を受け処理した.そして,北海道北西部羽幌町由来のチューロニアン期試料から,珪藻化石が産出した.それらは必ずしも保存は良くないが,Paralia crenulataの多産が確認された. (3)試料については,全くの未公表データとなるが,新型コロナウイルスの感染拡大により当面,学会での発表が困難と考えられるので,国内の学会誌の短報等での報告を計画している.
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